人を恋うる歌

(
Hitowo-Kouru-Uta)
作詞:与謝野鉄幹 
作曲:不 詳
英訳:山岸勝榮
©

A Song:Yearning for Comradeship
Lyrics: YOSANO, Tekkan  
Music: Unknown   
Translation: YAMAGISHI, Katsuei©



無断引用・使用厳禁

英訳を引用する場合は必ず英訳者の氏名を明記してください。
商用利用禁止。商用利用の場合、英訳者との事前の合意が必要です。

(詳細は
こちら参照)
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妻をめとらば 才たけて
みめ美わしく 情け
ある
友を選ばば 書を読みて
六分
(りくぶ)の侠気 四分(しぶ)の熱

When you marry a woman, wed a bright one
Wed a beautiful woman with a warm heart
When you yearn for a friend, find one who loves books
His heart two-thirds chivalry, one-third fire


恋の命を たずぬれば
名を惜しむかな 男(おのこ)ゆえ
友の情けを たずぬれば
義のあるところ 火をも踏む


When he's asked about how mere love should be
He as a man might value honor above it
When asked about fond friendship, though
He as a man would crawl through fire to have it


汲めや美酒(うまざけ)歌姫に
乙女の知らぬ 意気地あり
簿記の筆とる 若者に
まことの男
君を見る


Pour excellent saké in the singing girl's cup
She proves more mettlesome than the girls we know
When asked about you, young man, bookkeeper
I'd answer I found one faithful comrade in you

ああ われ ダンテの奇才なく
バイロン ハイネの 熱なきも
石を抱
(いだ)きて 野にうたう
芭蕉のさびを よろこばず


 Ah! I lack Dante's uncanny gift
I lack the passion of a Byron or a Heine
However, I can enjoy Basho the poet
Who was deeply moved even by a roadside stone

無断引用・使用厳禁 Copyright © YAMAGISHI, Katsuei

末尾の「芭蕉のさびをよろこばず」の「ず」を意志・推量を表す助動詞と解釈する人と、
   
そのまま否定語と解釈する人とがいる(ここでは前者にしたがった)。詳細に関してはこちら
を参照。

この歌の場合、作詞者の著作権は消滅、作曲者は不詳です。
与謝野晶子、松尾芭蕉のアイコンは
「HOMEPAGE GARO様から拝借しました。                              

「四季の歌」 「かあさんの歌」 「上を向いて歩こう」 「遠くへ行きたい」    「星影のワルツ」 「惜別の歌」
「見上げてごらん夜の星を」 英語教育の一環としての
「演歌」の翻訳
― METSでの実践
明海大学学歌 「よろこび」 「七つの子」 「与 作」 「証城寺の狸ばやし」 「春が来た」
「故 郷」 「春の小川」 「こいのぼり」 「浜辺の歌」 「夕焼け小焼け」 「坊がつる讃歌」 「さくら貝の詩」 「桃太郎」
「朧月夜」 「早春賦」 「赤とんぼ」 「しゃぼん玉」 「赤とんぼ」 「我は海の子」 「仰げば尊し」 「紅葉」
「赤い靴」 「浜千鳥」

下の文章は山岸ゼミ生専用掲示板に書いたもので、諸君の了解を得て転載します。

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2006/06/25(Sun) 15:18
投稿者 : 華山優子  
山岸勝榮先生
「人を恋うる歌」「坊がつる讃歌」「夕焼け小焼け」の英訳をご公表くださりありがとうございます。先生の御訳を拝読いたしました。
 「人を恋うる歌」の日本語は、現在の言葉使いではございませんので、日本語の意味を理解することが難しいと感じました。しかしながら、コミュニケーション特講Vの授業にて、先生が時代背景をご説明くださいましたので、この歌詞が何を言わんとしているのかがわかりました。先生の御訳では、「六分の侠気 四分の熱」の箇所を、“His heart two-thirds chivalry, one-third fire”と訳出されております。六分(りくぶ)や四分(しぶ)を3分の2、3分の1と訳出なさっておりますので、英語圏の方にもそれぞれの意味が理解できます。また「侠気」を“chivalry”、「熱」を“fire”となさり、男性の力強い心意気が伝わって参りました。また、同じ「熱」という語でも、4番では“passion”を使われておりますので、熱は熱でも、それぞれ違う意味だということが伝わって参ります。私は「熱」というと“passion”しか思い浮かびませんでしたので、もし私が訳出をいたしておりましたなら、1番でも4番でも“passion”を使っていたことと思います。
 「坊がつる讃歌」では、「山にいり」を“Your feet lead you to the mountains”「あなたの足があなたを山へと導く」となさり、山男の何をおいても「山に行きたい」という強い気持ちが伝わって参ります。コミュニケーション特講の授業にて、山男は“mountain-climbing men”とすることをお教えくださいました。“Mountain climber”や“alpinist”では女性も含まれますし、日本語で言う山男とは違うものになってしまうということを学びました。また、 “And you, mountain-climbing men” とすることで、音を合わせるとともに“And you”の箇所が「俺たちは山男なのだ」というような印象を与え、山男同士の固い絆のようなものが伝わって参ります。先生の御訳を拝読いたしましたとき、「山くれないに」の箇所がなぜ“deep, purplish red”なのか不思議に思いました。しかしながら、ミヤマキリシタの写真をみて、なぜ“deep, purplish red”となさったのかがわかりました。私は「くれない」という言葉にとらわれて、「くれない=赤」と思い込んでおりました。翻訳には正しい知識が必要であり、わからないことや知らないことがあった場合にはきちんと調べ、思い込みで訳してはいけないということがわかりました。
 「夕焼け小焼け」は、私も訳出に挑戦いたしました。その際に苦労いたしましたことの1つは、「小焼け」とはいったいどんなものでどのように表現すべきなのだろうということでした。私は“twilight”という単語を使いましたが、これで「小焼け」のイメージが伝わるか悩みました。他にも苦労いたしましたのは、「山のお寺の鐘が鳴る」や「カラスと一緒にかえりましょう」の箇所です。どのようにしたら歌詞の意味を伝えることができるのか、とても苦労いたしました。この歌の日本語は他の2曲に比べて簡単なのですが、実際に英語にしてみますと、そのまま訳してしまっては英語圏の方には伝わらないものであり、やはり日本語力の大切さを実感いたしました。先生の御訳は大変わかりやすく簡潔に歌詞が訳されており、また音にあわせて歌うことができます。日本の文化情報も伝わって参ります。私が訳出いたしましたものは単語数が多く、歌いづらいものとなっておりました。日本語の歌詞を英語にする場合は、日本の文化情報を上手に表現し、音にあわせて歌えるように、適切な語を補っていくことが大切なのだということを学びました。華山優子(4年次特修生)

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2006/06/26(Mon) 00:11
投稿者 : 生井優里恵
山岸勝榮先生
「人を恋うる歌」「坊がつる讃歌」「夕焼け小焼け」の英訳公表についてお書き込みくださり、まことに有難う御座います。先生の御訳を拝読致しました。
 「人を恋うる歌」ですが、まず、日本語の理解に苦労致しました。日本語を読んだだけでは歌詞の意味を理解できずにおりましたが、先生の御訳を拝読致し、大まかではありますが全体の雰囲気をつかむことができました。
まず題名ですが、先生は‘A Song:Yearning for Comradeship’と訳していらっしゃいます。Comradeshipを使うことによって、どのような「人」を慕っているかが明確になり、時代背景を知らない方にも伝わりやすくなると思いました。
また、2番の訳出ですが、先生は最初の語をWhenと He as a manで統一していらっしゃいます。原文でも「たずぬれば」と語をあわせていますので、原文に対してとても忠実に訳されていると思いました。
 
「坊がつる讃歌」ですが、こちらも「人を恋うる歌」と同様に、日本語の理解に苦労致しました。お時間がおありの時で結構ですので、ゼミの授業で時代背景についてお教えいただければ幸いに存じます。
「人みな花に 酔うときも」の箇所ですが、先生は‘When everyone else is charmed by the beauty of flowers,’と訳していらっしゃいます。私でしたら、人々が魅了されるのは「美しい」花という当たり前のことに気づかず、そのまま訳出してしまうように思います。当たり前のことですが、このような細かい配慮も必要だということを学びました。
「咲き誇り」の箇所ですが、先生は‘in full bloom and at their best’と訳していらっしゃいます。at their bestと付け加えたことによって、花のイメージがつかみやすくなったと思います。今まさに見ごろの綺麗な花が頭に浮かび、気持ちがとても穏やかになりました。
 
「夕焼け小焼け」ですが、「小焼け」という日本語を、英語圏の人たちにどのように伝えればよいか、とても悩みました。まずsunsetという言葉が思い浮かびましたが、これだけでは小焼けという雰囲気を出すことが出来ません。先生の訳出を拝読致し、単語そのものに捉われてはいけないということを学びました。先生が訳出なさったように、‘The sky is glowing with the setting sun’とすれば、太陽が沈んでいく様が明確に表現できると思いました。
他の国の方々に日本の文化を伝えるときには、説明的な単語を補う事の重要性を学ばせていただきました。生井優里恵(現ゼミ特修生)

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2006/06/27(Tue) 18:57
投稿者 : 栗田知里
山岸勝榮先生
「人を恋うる歌」「坊がつる賛歌」「夕焼け小焼け」の英訳をご公表くださり、ありがとうございます。先生の御訳を拝見させていただきまして、感想を書き込ませていただきます。
 
「人を恋うる歌」ですが、日本語の理解に大変苦労いたしました。生井さんも書き込んでおられますように、私も先生の英訳からおおまかな意味をつかみましたが、まだわからない部分がたくさんあります。機会がおありのときに、日本語の内容をお教えいただけると光栄でございます。以前先生のブログにも書かれておりましたが、「六分」や「男」などは、振り仮名がなければ読めませんでした。お恥ずかしながら、特別な読み方をすると聞かされていなければ、そのまま「ろくぶ」、「おとこ」と読んでしまったと思います。「ああ われ ダンテの奇才なく」の「奇才」ですが、私でしたら単純に“talent”としてしまったと思いますが、“uncanny gift”とすることで、神から与えられたものという意味合いになります。すばらしい才能を持っているダンテを敬っている感じが伝わって参りました。
 
「坊がつる賛歌」も、「人を恋うる歌」と同様に、日本語の理解が難しく感じました。「残雪恋し」の「残雪」を、先生は“the snow still glitters”と表現なさっています。雪がまだ残っていて、きらきらと輝いている情景が浮かんでまいりました。「春を知る」というところの“spring will soon be with you”という訳によって、春がすぐ間近に来ている感じを受け取ることができました。「咲き誇り」という表現は、私でしたらとても悩まされたと思いますが、先生は“in full bloom”に加え、“at their best”と英訳されました。花が精一杯美しく咲いている様子や、山男が花に心を打たれていることがうかがえます。
 
「夕焼け小焼け」は幼いころによく口ずさんだ童謡ですが、二番は存じておりませんでした。まず「小焼け」という訳は考えてみましてもうまく表現することができません。けれども、原文の言葉にとらわれすぎず、情景を伝えることが大切なのだと学ばせていただきました。「子供が かえった あとからは」の、“All the children went home after playing a lot”という部分は、歌詞には、ただ子供が帰ったということしかありませんが、先生は“playing a lot”という表現も加え、子供たちが日が暮れるまでたくさんあそび、夕方になったので帰る、という様子が伝わって参りました。
 すべてを通して、日本語の意味をそのまま英訳するだけでなく、異なった文化や環境を持つ外国の方々にも、情景や心情が伝わることが大切だということを学ばせていただきました。栗田知里(今年度ゼミ生)

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2006/06/28(Wed) 16:01
投稿者 : 亀山由華
山岸勝榮先生
「人を恋うる歌」
「坊がつる賛歌」「夕焼け小焼け」の英訳をご公表くださりありがとうございます。それぞれの御訳についての感想を書き込ませていただきます。
「人を恋うる歌」
私は特に一番目の歌詞に着目をいたしました。「友を選ばば」という日本語を先生は“yearn for a friend”と御訳されています。私は「選ぶ」という単語を見ます時は必ず“choose”という単語を連想させてしまいます。“choose”を英英辞典で調べましたところ、“to decide which thing or person you want out of the ones that are available”と説明されていました。「友達」は数ある中から簡単に選んでつくれるものではないので“choose”は相応しくないのかと思いました。そして、六分と四分をそれぞれ“two-thirds”と“one-third”に御訳されております。私は先生がなぜ六分を“three-fifth”、四分を“two-fifth”と御訳されていらっしゃらないのかわかりませんでした。ご多忙でいらっしゃると存じておりますが、お時間がございます時にお教えいただけましたら光栄に思います【回答済み;山岸】。
「坊がつる賛歌」
こちらの歌は、日本語が難しく、容易に歌の内容を理解することができませんでした。こちらの御訳に関しましては、まず1番の歌詞の「山に入り」という文章を 先生が“your feet lead you to the mountains”と御訳されいらっしゃることに着目いたしました。私でしたら、“you go into the mountains”と訳出していたと思います。先生の御訳を拝見させていただき、残雪が恋しいために足が自然と山の方へ進んでいってしまう気持ちが表れている御訳だと感じました。2番目の歌詞の「ミヤマキリシマ」は英語の辞書に載っておりませんでしたので、英語圏の国では見られない花なのかと思いました。辞書で調べましたところ、「九州の山地に生えるツツジの一種」と説明されていました。そこで、先生は「ツツジ」を表す“azalea”という単語をお使いになられたのかと思いました。そして、“azaleas”という単語の前に“banks of wild”を付けることで、山の中で自然と咲いたツツジという感じと、たくさんのツツジがところどころに集まってたくさん咲いている情景を浮かべることができました。日本語の中に言葉1つで「ミヤマキリシマ」と表されていても、ただ“azaleas”と表現するのではなく、前後の文章から日本語に表されていない言葉を補っていくことが大切だと思いました。
「夕焼け小焼け」
1番目の歌詞の3行目を“Let's go home hand in hand; everyone, let's go home”と御訳されておりましたところに着目いたしました。「おててつないで みなかえろう」という文章を見ますと、私でしたら“Let's go home hand in hand”だけで終わってしまっていたと思います。“everyone, let's go home”と付け加えて訳すことで、皆に「帰ろうよ」と誘いかけている子供の姿が伺え、文章に温かさが出てくるような感じがいたしました。その次に、2番目の歌詞の「小鳥が夢を 見るころは」という部分を先生は“When pretty birds have a dream at their cozy home”と御訳されています。「小鳥」を“pretty birds”と御訳されていらっしゃることや“at their cozy home”と日本語の歌詞には表現されていない部分が付け加えられていることで、可愛らしい小鳥達が、夢を見るほど心地のよい家でぐっすり寝ているという様子が伺えました。先生の御訳を拝見させていただき、日本語をそのまま直訳しても全くその歌の感じがでないと思いました。その場の情景をイメージして、日本語の歌の中に表現されていない部分を自分で補っていくことで、硬い文章ではなく温かみのある文章にすることができることを学ばせていただきました。
 日本語の文章を直訳するのではなく、その歌の情景を文章からイメージし、日本語には表現されていない言葉を補えるようになりますように翻訳の技術を磨いて参りたいと思います。亀山由華(新年度ゼミ生)

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2006/06/29(Thu) 00:02
投稿者 : 佐藤 佳相  
山岸勝榮先生
「人を恋うる歌」
「坊がつる讃歌」「夕焼け小焼け」の英訳をご紹介下さりありがとうございます。
 「人を恋うる歌」では日本語の意味が分からず、英訳を拝見させて頂き、おおまかな意味を理解できました。日本語の勉強不足であるとまた実感させられました。(友を選ばば)という表現をyearn forと御訳になされている点や、(侠気)をchivalryに、(友の情け)を fond friendshipに、(火をも踏む)をcrawl through fire に、(意気地)をmettlesomeに、(まことの男 君を見る)を、I'd answer I found one faithful comrade in youに、(石を抱きて 野にうたう、芭蕉のさびを よろこばず)をHowever, I can enjoy Basho the poet, Who was deeply moved even by a roadside stoneと御訳なされている点は特に難しいと思と感じましたが、意味だけではなくイメージが鮮明に浮かんでくるようにも感じられました。
 「坊がつる讃歌」も日本語の表現が難しいと感じました。And you, mountain-climbing menと御訳されている点が何か投げかけているような印象を持ちました。
「夕焼け小焼け」は子どもの頃によく歌っておりましたので、とても懐かしく感じられました。しかし英語訳ではnight is coming onのように日本語には述べられていない点を細かく表記されており、鮮明なイメージが浮かんで参りました。
 今回ご紹介下さった3品共に、深く考えさせられるものばかりでした。今後とも精進して参ります。新ゼミ生 佐藤 佳相

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2006/06/29(Thu) 15:27
投稿者 : 林明日香
山岸勝榮先生
「人を恋うる歌」「坊がつる讃歌」「夕焼け小焼け」の英訳ご公表についてご紹介くださりありがとうございます。
 他のゼミ生の方々も書き込んでいらっしゃいますが、「人を恋うる歌」と「坊がつる讃歌」につきまして、まずは日本語の歌詞を理解するのに苦労致しました。これまでもゼミ授業を通じて、「日本人であるにもかかわらず、日本語がわからない」ということを反省することが何度もございましたが、今回もまた、そのことについて自分の勉強不足を痛感致しました。
 
「人を恋うる歌」という題名の訳についてですが、「「人を恋うる」という表現が「どのような意味をもつのか」というところから悩み、その言葉に合う訳がなかなか思い付きませんでした。山岸先生の御訳では、“Comradeship”という単語を用いて訳していらっしゃいます。「人を恋うる歌」について、少しインターネットで調べましたところ、この曲は高等学校の寮歌だと知りました。そのことを踏まえると、山岸先生が「人を恋うる」という表現を、「友情、同志愛、僚友関係」という意味がある“Comradeship”を用いられている理由がわかりました。この曲につきましては、まだまだ歌詞の意味を深く理解することが出来ていませんので、今後も機会を見付けて、曲の内容について調べて参ります。
 
「坊がつる賛歌」につきましても、まずは曲について調べなければいけないと思い、インターネットで調べましたところ、「坊がつる」とは大分県にある小盆地の名前だということがわかりました。その他にも、この曲は九州大学の山岳部の部員がつくった替え歌がもとになっているということも知りました。(ホームページのアドレスはhttp://www.duarbo.jp/versoj/v-folksong/bogatsuru.htmです。)その土地をよく知る人がつくったからこそ、活き活きとした自然の姿が、歌詞の中に十分に表されているのだと感じました。2番の歌詞の中に「ミヤマキリシマ 咲き誇り」という部分がありますが、私はこの「咲き誇り」を、「魅力的」という意味で“charm”を思い浮かべました。先生の御訳では“in full bloom and at their best”と訳していらっしゃるのを拝読し、特に“at their best”という言葉にミヤマキリシマが、山の斜面に咲き乱れている様子を想像することが出来ました。
 
「夕焼け小焼け」という歌は、幼い頃によく耳にしていた歌ですので、とても懐かしく感じながら、先生の御訳を拝読致しました。馴染のある歌でしたので、英訳に挑戦しようと致しましたが、「夕焼け小焼け」の「小焼け」をどのように訳してよいかわかりませんでした。先生の御訳では「夕焼け小焼け」をそのままローマ字表記になさって、英訳はサブタイトルとして“The sky is glowing with the setting sun;night is coming on”となさっているのを拝読し、歌詞の英訳においてそのような表現方法もあるのだということを学びました。また、直訳に近いかたちで訳していくと2番は間延びしてしまいますが、先生の御訳は“dazzling”や“at their cozy home”などを用いていらっしゃるので、歌詞が間延びすることはありません。やはり歌詞の英訳では「その曲に合わせて歌える」ということが大切のだということを、改めて感じました。
 山岸ゼミでは、私の日常生活の中では触れることのない英文や日本語に触れることが出来き、そうした中で勉強をさせていただけることを大変幸せに感じております。学生生活も残りわずかではありますが、卒業時に悔いが残ることのないよう、今後も日々精進して参ります。林明日香(現ゼミ特修生)

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2006/06/30(Fri) 11:50
投稿者 : 佐藤亜津子
山岸勝榮先生
お忙しい中を、
「人を恋うる歌」「坊がつる讃歌」「夕焼け小焼け」の英訳を御公表してくださり、ありがとうございます。
 今回の、山岸先生が英訳された歌について、私の知っているものは「夕焼け小焼け」だけで、「人を恋うる歌」と「坊がつる讃歌」は初めて拝見するものでした。どちらの歌も日本語の歌詞を理解することがとても難しく、何を伝えようとしているのだろうかと、考えました。いくら読み直しても、理解することができなくとても苦しみました。特に「人を恋うる歌」については、‘みめ’という言葉など、日ごろ使うことのない日本語が多く出てきました。ですので、辞書を使わずに読むことができませんでした。日本人であるのに、辞書を使わないと読めないということは、どれほど、日本語を知らないかということになります。翻訳には、「このような日本語を使っている時代に生まれていないから、この歌は訳せない。」ということはできません。翻訳に、歴史は関係ないということをあらためて知ることができました。
 「人を恋うる歌」の、3番目の歌詞に「歌姫に 乙女の知らぬ 意気地あり」という箇所がありますが、山岸先生の英訳されたものを見ますと、とてもこの歌姫は、元気のある活発な女性であるということがわかります。私が英訳するならば、きっと、ただ単に意気地のあるという直訳になってしまっていたと思います。その人がどのような人柄で、意気地があるのかということも考えて翻訳しなければならないと思いました。
 「坊がつる讃歌」の、3番目の歌詞に「無我」という言葉が出てきます。無我という言葉は、日ごろでは、「無我夢中で〜する。」という言葉で使います。ですので、無我という意味を辞書で調べましたところ、「我意のないこと」「無心なこと」「私心のないこと」などが書かれておりました。ですが、山岸先生はその箇所をserenityと英訳されております。Serenityの意味は、「晴朗」「うららかさ」です。「うららかさ」を辞書で調べましたところ、「心のさわやかなさま」「心のはればれしいさま」と書かれておりました。意味の違う言葉ではありますが、serenityにして英訳された場合、この歌詞に登場する山男が、自分自身を我に返って、悟った時の気持ちがわかりやすくなっていると思いました。上記にも書きましたように、この歌の歌詞も理解することがとても難しく、今もまだ、正しく理解できてはないと思います。ですので、「無我を悟るは」というところが、自分の解釈したもので正しいのかどうか、不安に思っておりますが、私はこのように解釈致しました。
 「夕焼け小焼け」では、私も華山さんと同じで、コミュニケーション特講で、翻訳に挑戦致しました。夕焼けという言葉は辞書を引けばでてくる言葉ではありますが、小焼けという言葉はありません。なぜ、小焼けという言葉がでてきたのだろうと思いました。山岸先生は、night is coming onと英訳し、「もうすぐ夜が訪れるよ。」という表現をされております。夕焼け小焼けを、そのまま訳しても通じませんが、この英訳ですと、夜が訪れる、少し前のことだということが、すぐにわかります。辞書に載っていないということは、いくら小焼けという言葉を外国人に教えても、理解してはくれないでしょう。山岸先生が英訳なされたように、night is coming onと状況を説明しなければならない時もあるということを知りました。佐藤亜津子(ゼミ生)

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2006/07/05(Wed) 16:01
投稿者 : 吉川良  
山岸勝榮先生
「人を恋うる歌」「坊がつる讃歌」「夕焼け小焼け」の英訳をご紹介くださりまことにありがとうございます。先生の御訳を拝読致してまして、そこから学ばさせていただきましたことを書き込んでまいります。
 「人を恋うる歌」のプリントをコミュニケーション特講の授業でいただいたときに、初めは歌の本意を理解するのに苦労致しましたが、先生がひとつひとつの文の持つ意味を丁寧に説明してくださったので、それを理解することができました。日本人である私自身がほんの半世紀前の日本語の文を理解できないという現実が恥ずかしく思えました。授業の中では日本人は六分四分と考えるところを、英語圏の人々は三分の二、三分の一と考えるということを学びました。また4番の石を抱きての箇所ですが、日本語ではどこにある石で、いったい何個ある石なのかということを書いておりませんが、翻訳する際にはそれはいったい何個あって、どこにある石なのかを示さなければなりません。松尾芭蕉は道端に転がっているひとつの石にさえも心を動かされたという意味まで汲んで翻訳しなければいけないということを学びました。
 
「坊がつる讃歌」の英訳を拝読いたしまして、山岸先生は「山に入り」と「雪解の水に春を知る」の箇所をそれぞれyour feet lead you to the mountains, And the rivulet there let you know that spring will soon be with you と御訳されていらっしゃいます。無生物主語を用いて、文章を作ることは日本人にとっては一般的ではありませんので、普段から意識して用いていかなければ思い浮かぶことはない表現だと感じました。以前にCommunication skillUの授業で「満開」「男(女)盛り」はat one's bestで表現することを学びました。しかし先生はそれに加えて曲に合わせて歌えるようにin full bloomも付け加えて御訳されています。ただ単に意味をとらえて翻訳するばかりでなく、曲にあわせて歌えるように言葉を補足する難しさを学ばさせていただきました。
 
「夕焼け小焼け」の英訳で非常に興味深く感じた箇所は、crows join us in going home, flying in the skyです。日本語では人間を主体にして考えますが、先生は烏がおうちに帰る子供たちの仲間に入ってきたと御訳されています。日本人と英語圏の人々はものを捉えるときの視点がまったく違うということを学ばさせていただきました。吉川良(今年度ゼミ生)