上を向いて歩こう
(Uewo Muité Arukõ)
作詞・永六輔
© 作曲・中村八大©
坂本九 

英訳・山岸勝榮
©

I Look Up When I Walk Down
(Known as “Sukiyaki Song”)
Japanese Lyrics by EI, Rokusuke© and Music by NAKAMURA, Hachidai©
Song by SAKAMOTO, Kyu
Translation by YAMAGISHI, Katsuei
©



無断引用・使用厳禁
英訳を引用する場合は必ず英訳者の氏名を明記してください。
商用利用禁止。商用利用の場合、英訳者との事前の合意が必要です。
(詳細はこちら参照)
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Copyright © YAMAGISHI, Katsuei
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「上を向いて歩こう」の原詞・英訳掲載にあたっては、永六輔様フジパシフィック音楽出版よりご許可をいただきました。

こちらで坂本九の歌声が聴けます。
(右クリックをして「リンクを新しいウインドウで開く」で聴く)





上を向いて 歩こう
涙が こぼれないように
思い出す 春の日
 一人ぽっちの夜

上を向いて歩こう
にじんだ 星をかぞえて
思い出す 夏の日
 一人ぽっちの夜

幸せは 雲の上に
幸せは 空の上に

上を向いて 歩こう
涙が こぼれないように
泣きながら 歩く
 一人ぽっちの夜


(口笛・・・・・・)


思い出す秋の日 
一人ぽっちの夜

悲しみは 星のかげに
悲しみは 月のかげに

上を向いて 歩こう
涙が こぼれないように
泣きながら歩く
一人ぽっちの夜

一人ぽっちの夜




I look up when I walk down, down the street all alone
So tears will not wet my cheeks as I walk along
I remember the spring days I spent with you
But now every night I'm left all alone

I look up when I walk down, down the street all alone
I count the blurry stars with my tearful eyes
I remember the summer days I spent with you
But now every night I'm left all alone

I hope for happiness beyond the clouds
I hope for happiness high up in the sky

I look up when I walk down, down the street all alone
So tears will not wet my cheeks as I walk along
With tears in my eyes, I walk along
I walk along the street all alone

(Whistling...)

I remember the autumn days I spent with you
But now every night I'm left all alone

I hope my sorrows will go beyond the stars
I hope my sorrows will go beyond the moon

I look up when I walk down, down the street all alone
So tears will not wet my cheeks as I walk along
With tears in my eyes, I walk along
I walk along the street all alone


I walk along the street all alone

無断引用・使用厳禁 Copyright © YAMAGISHI, Katsuei

「四季の歌」 「かあさんの歌」 「遠くへ行きたい」 「惜別の歌」    「星影のワルツ」
「見上げてごらん夜の星を」 「与 作」 英語教育の一環としての「演歌」の翻訳
― METSでの実践
明海大学学歌
「よろこび」
「七つの子」
「証城寺の狸ばやし」 「紅葉」 「春が来た」 「春の小川」 「故 郷」 「こいのぼり」 「浜辺の歌」
「人を恋うる歌」 「坊がつる讃歌」 「夕焼け小焼け」 「さくら貝の歌」 「桃太郎」
「朧月夜」 「早春賦」 赤とんぼ 「しゃぼん玉」 「我は海の子」 「仰げば尊し」
「赤い靴」 「浜千鳥」



山岸ゼミ生がゼミ専用掲示板に書いた文章を、諸君の了解を得て転載します。

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2005/11/15(Tue) 19:38
投稿者 : 華山優子
山岸勝榮先生
 「日本の歌を英訳する」欄のご開設についてお教えくださりありがとうございます。私も、先生の御訳を拝読できますことを心待ちにしておりました。
  先ほど先生の御訳を拝読いたしました。いつもながら大変すばらしい御訳で、感動いたしました。
「上を向いて歩こう」では「涙がこぼれないように」という歌詞を“tears will not wet my cheeks” 「にじんだ 星をかぞえて」を“count the blurry stars with my tearful eyes”と訳されていらっしゃいます。もし私が翻訳をしたならば「こぼれる」とそのまま訳し“spill”などの語を使用したと思います。「にじんだ」についても単に“blur”という単語を使用するだけで、“tearful eyes”という発想は出てこなかったと思います。「星のかげに」「月のかげに」を“go beyond the〜”で表現なさっているところも、私では考えつかなかったと思います。
  このような発想をするためには、まず日本語の歌詞の意味を理解できなければなりません。その上で、英語らしい表現にて翻訳しなければなりませんが、先生の御訳を拝読し私には英語の表現力以前に、日本語の理解力が不足していると言うことを痛快いたしております。先生がいつもおっしゃっていらっしゃいますように、母語である日本語力を向上し、文章を正しく理解できる力をつけられますように、これからも精進してまいります。
  今回は「上を向いてあるこう」について書き込みいたしましたが、他の御訳につきましても、後日書き込みをさせていただきます。華山優子(現ゼミ3年次生)


タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2005/11/16(Wed) 16:06
投稿者 林明日香
山岸勝榮先生
 「日本の歌を英訳する」欄のご開設についてご紹介くださり、ありがとうございます。
 先ほど山岸先生の御訳を拝読させていただきました。
「上を向いて歩こう」という曲の、まさに“上を向いて 歩こう”という歌詞の部分で、山岸先生が “I look up when I walk down, down the street all alone”と訳されていらっしゃいましたのを拝読し、先週のゼミ授業で、特修生の方々が「遠くへ行きたい」の歌詞中の「知らない街を 歩いてみたい」という部分は、“town”という単語をあえて音を合わせるために重ねて使っていたということを思い出しました。そして日本の歌がそうであるように、英語の歌詞も詞的な部分を大事にしたり、音に合わせるために、文法に囚われずに訳すことも時には必要であるということを、再度学ばせていただきました。また「星影のワルツ」の御訳では、「今でも好きだ 死ぬ程に」という部分で“I could die for you”と訳していらっしゃったので、この部分は先週のゼミ授業で(これも「遠くへ行きたい」の歌詞と関係しているのですが)山岸先生がお教えくださった「英語圏の人々は、“愛する人”という言葉から、“I could live and die for”(あなたのために、生きて死ねる)というイメージを持ち得る」というお話を思い出し、そういう英語圏の人々の考えに基づいてお訳しになったのだと、私は感じました。(自分の考えを書き込んでしまいましたが、もし山岸先生のお考えと異なったものでしたら、ご指摘いただけると幸いに存じます。)そして山岸先生の御訳から、日本語の歌詞に込められた意味を忠実に英訳で表現するためには、英語圏の文化をきちんと知らなければいけないということの重要さを改めて痛感致しました。
  英語も日本語も、まだまだ勉強しなければいけないことが山ほどありますが、まずは自分の日本語力を磨くべく、日々努力して参ります。林明日香(現ゼミ3年次生)

 

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2005/11/17(Thu) 01:34
投稿者 矢野 奈都美
山岸勝榮先生
  「日本の歌を英訳する」欄のご開設についてのお書き込みを下さり、ありがとうございます。先ほど山岸先生が訳された文章を拝読いたしました。日本の歌と英語の歌を拝読し、日本の歌は授業中に山岸先生が仰っていたように、曖昧な表現のものが多いのだと改めて感じました。「遠くへ行きたい」の訳出の時にも感じたのですが、日本の歌は聴いていると何となくイメージが浮かぶのですが、そのイメージを英語に訳出するのは曖昧すぎてたいへん難しいものでした。けれど、山岸先生の御訳では「愛する人と 巡り合いたい」の部分を“I want to meet someone I could live and die for”と訳されていて、歌を読んだときに、そのイメージが頭の中にすっと入ってくるたいへん素晴らしい御訳だと感じました。また、
「上を向いて歩こう」の「幸せは雲の上に」のように文章になっていない部分も“I hope for hapiness beyond the clouds”と言葉を補って1つの文章になさっていて、そうすると大変わかりやすい文章になるのだなと感じました。何より、山岸先生が訳された歌は、どの歌も曲のリズムにとても合っていてきちんと歌える素晴らしい御訳であると感じました。矢野奈都美(現ゼミ3年次生)

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2005/11/17(Thu) 17:39
投稿者 鈴木美由紀  
山岸勝榮先生
  「日本の歌を英訳する」という欄を先生のホームページ上にご開設なさったことをお知らせくださり、ありがとうございます。私も、拝読させていただきました。前にも申し上げましたが、先生が英訳なさった
「上を向いて歩こう」は、私の思い出の曲ですので、今回は「上を向いて歩こう」の先生の英訳を拝読致しまして、感じた点などを書き込ませていただきます。

まず感じました点は、歌詞の初めの
I look up when I walk down, down the street all alone.
(上を向いて歩こう)
のthe streetという箇所です。ここでtheを使用することにより、道ならどこでもよいわけではなく、自分(もしくは自分達)の思い出の道を歩いている、という雰囲気がでていて、すばらしいと感じました。次の
So tears will not wet my cheeks as I walk along.
(涙がこぼれないように)
を「涙が頬をぬらさないように」と訳出していらっしゃるところが、詩的であると感じました。私がこの箇所を訳すとしたら、fallを使って「こぼれる」と表現したと思います。先生のように訳出することで、歌の内容がイメージしやすくなると思いました。
I remember the spring days I spent with you,
(思い出す 春の日)
I hope for happiness beyond the clouds.
I hope for happiness high up in the sky.
(幸せは雲の上に 幸せは空の上に)
 この二箇所では、歌詞にない部分も補って訳していらっしゃいます。以前に、授業で、日本人には読めば感覚でわかることも、英語に訳すときはきちんと書かなくては伝わらない。その歌がどのようなことを歌っているのか、きちんと設定をして、わかるように訳さねばならない、ということを先生にご指導いただきました。この二箇所は、思い出す(あなたと過ごした)春の日」「幸せは雲の上に(あるのだろうなぁ)」というように括弧内に記した言葉が(もう少しよい言葉があるかも知れませんが)それぞれ補われており、そのために、誰が読んでも、分かりやすい親しみのある歌になっていると感じました。誰と過ごしたのか、ということはwith youと表現されており、家族でも友人でも恋人でも、誰をも当てはめて歌うことができるので、そのことがよりいっそう、この歌を身近に感じさせているのではないでしょうか。
 先生のように、歌の内容を理解し、そしてそれを温かみのある言葉で訳せるようになるためには、日本語・英語の勉強に励むことはもちろん、自分の心をも成長させていかなくてはならないと強く感じました。日々をすごす中で、自分の弱さという壁にぶつかることもあるかと思いますが、先生がお教えくださった、
If you think you can, you can. And if you think you can't, you're right.
(自分ができると思えば、できる。できないと思うなら、その思いも正しい。)
というお言葉を胸に刻み、一日一日を悔いのないように過ごして参ろうと思います。今後とも、ご指導をよろしくお願い申し上げます。2005年度ゼミ生 鈴木美由紀



タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2005/11/19(Sat) 05:42
投稿者 川部翔  
山岸勝榮先生
  「日本の歌を英訳する」をご開設くださりありがとうございます。「四季の歌」と「かあさんの歌」、「遠くへ行きたい」の御訳は既に拝読させていただいておりましたが、ゼミ授業で日本語の詞を英訳することの難しさを勉強させていただいてから山岸先生の御訳を改めて拝読させていただき、山岸先生の御訳の素晴らしさに感動致しました。僭越ながら、今回初めて拝読させていただいた
「上を向いて歩こう」の感想をこちらに書き込ませていただきます。
  私が山岸先生の御訳を拝読させていただき最初に感じましたことは、先生の御訳は曲に合わせて歌いやすいようにお訳しになられているということです。これは歌詞を翻訳する上で大前提となる要素ですが、ゼミ授業で「遠くへ行きたい」の英訳をさせていただき、歌いやすい訳を考え出すことがどれほど難しいことであるかを痛感致しておりましたので、山岸先生の御訳を拝読致し思わず膝を打ってしまいました。私も曲に合わせて口ずさんでみましたが、非常に歌いやすいと思いました。山岸先生がお歌いになる「上に向いて歩こう」をいつか聴かせていただけることを楽しみに致しております。また、山岸先生は詞の節の部分でall aloneとwalk alongとのように韻をお踏みになられていらっしゃいます。このようにお訳しくださったことで詞全体が美しく統一されているように感じました。そして、これは御訳を拝読させていただき最も強く感じたことですが、山岸先生は「上を向いて歩こう」の歌詞が表すことをまったくその通りにお訳しになられていると思いました。英語圏の人が、このI Look Up When I Walk Downという美しい題名の御歌詞を読み、「上を向いて歩こう」の歌詞が持つ真の意味を理解することは大変に素晴らしいことだと思います。山岸先生がお訳しくださった御訳を熟読致し、よりよい訳出が出来ますように勉強して参りますのでご指導を宜しくお願い申し上げます。川部翔(現ゼミ3年次生)
   

タイトル 山岸勝榮先生
投稿日 : 2005/11/26(Sat) 01:57
投稿者 飯田起代
 山岸勝榮先生
  「日本の歌を英訳する」欄をご開設くださいましたことをお教えくださり、まことにありがとうございます。
 私も時田さんと同様に、昨年度の山岸先生のCommunication SkillsUの授業で演歌や童謡の訳出をご指導いただきましたが、私の担当は「北の宿から」でしたので、とても訳出に苦労した思い出深いこちらの曲の翻訳許諾・公表権が得られなかったことを大変残念に思っております。
 昨年度のCommunication SkillsUの授業でも御訳を拝読させていただきましたが、私は山岸先生が訳された
「上を向いて歩こう」にとても感動いたしました。以前からこの歌は知っておりましたし、何度も聞いたことがございましたが、山岸先生が授業の際にお歌いくださった英語の歌詞の方が深く感動しましたことを今でも覚えております。
 日本語の歌詞でも、歌に込められた大体の意味は分かるのですが、山岸先生の御訳の方が、この歌の情景がはっきりと浮かぶように思います。私は直訳に近い訳出しか出来ず、詩的なことばもなかなか思いくことが出来ませんでしたので、自分の日本語の語彙力の無さを思い知りました。
 山岸先生の御訳では単語の一つひとつがとても詩的であり、且つ原文に忠実でもあり、歌詞を読む人、歌を聴く人の心に響くことと思います。
  「上を向いて歩こう 涙がこぼれないように」の御訳である‘I look up when I walk down, down the street alone. So tears will not wet my cheeks as I walk along.’の部分では、「涙が頬を濡らさぬように」という詩的な歌詞になっており、私は「このように英語で情緒的に訳すことが出来るのか」と驚くと共に感銘を受けました。私はこの歌の英訳を拝読し、まずは日本語の原文の意味を正しく理解できなければならないのだと実感致しました。日本の演歌などを英語圏の方々に分かってもらうためには、まず原文の意味が分からなくてはなりませんが、私は日本人でありながら演歌の歌詞の意味を正しく読み取ることが出来ておりませんので、今後とも日本語の語彙を増やし、文章力を磨いて参ります。飯田起代 (現ゼミ四年次特修生)




次は、“Sukiyaki”というタイトルについてゼミ生の一人がゼミ生専用掲示板に
書き込んだ一文をきっかけに返信が続いていったものの紹介です。


タイトル

山岸勝榮先生、ゼミ生の皆様

投稿日

2005/10/28(Fri) 03:44

投稿者

K.S.  

 こんばんは。現ゼミ生のK.S.です。山岸先生は、坂本九の『上を向いて歩こう』が『スキヤキ』という題名で世界中に認知されているということを前回の授業でお話くださいました。村上春樹の『村上ラヂオ』という本を読んでおりましたら、『スキヤキ』に関する記述を偶然見つけました。文章の一部を引用致します。不適切な書き込みでしたらご削除いただければ幸いです。

> ところでご存知のように、坂本九の『上を向いて歩こう』は、アメリカでは『スキヤキ』という題でレコード発売された。1963年のことで、そのときは「ひでえタイトルをつけるよなあ」とあきれていたんだけど、ビルボードの第1位を三週間続けるという圧倒的なヒットを記録し、その結果この曲は「スキヤキ・ソング」として世界中に認知されてしまうことになった。今でもアメリカでオールディーズ専門のFM局に合わせていると、ときどきかかる。アメリカ大陸を車で横断していて、ミネソタのだだっぴろい平原の真ん中で、この「スキヤキ・ソング」が流れてきたときには、胸がじーんとしてしまった。良い曲ですよね。僕は「スキヤキ・ソング」を日本の国歌とまではいわずとも、準国歌にすればいいのにと長年にわたってしゅちょうしているんだけれど、いかがでしょうか?

> どうして『上を向いて歩こう』が『スキヤキ』になったのか前々から疑問に思っていたんだけど、この前ある本を読んで疑問が氷解した。ケニー・ボール楽団というイギリスのディキシーランド・ジャズのバンドが、この曲を最初に録音したとき、[uewomuitearukoh]という題がみんなどうしても覚えられなくて、スタジオで誰かが「面倒だから『スキヤキ』って呼ぼうや」と言い出して、それがその(Sukiyaki)ままレコードのタイトルになってしまったということだ。アメリカで坂本九のオリジナルが発売されたときにも、そのタイトルが流用された。たしかに乱暴なタイトルなんだけど、それはそれでよかったのかもしれない。覚えやすいし、親しみがもてる。おまけに僕はすき焼きが好きだから、「べつにそれでいいじゃん」とすぐに納得してしまう。

> ところでその『スキヤキ』がヒットしたあとで、鈴木章治の『鈴懸の径(すずかけのみち)』が『スシ』というタイトルでアメリカ発売されたことをご存知ですか?残念ながらこちらはあまりヒットしなかった。しかし『テンプラ』とか『サシミ』とかいろんなのが次々にヒットしたらきっと面白かっただろうなラジオを聴いているうちにっやたら腹が減ってきたりしてね。と書いているうちに、すごくすき焼きが食べたくなってきたよ。

以上、『村上ラヂオ』72〜73ページより引用。

 このほかにも、イギリスのレコード会社の社長が来日した際に浅草で食べたすき焼きの味が忘れられずに題名に使用したという説もあります。どの説が正しいのかはわかりませんが、いずれにしても坂本九の『上を向いて歩こう』が世界でヒットした理由は題名云々ではなくその楽曲の素晴らしさにあると思います。しかし、その一方で題名もひとつの作品にとって極めて重要であると実感致しました。『WATERLOO BRIDGE』という映画が『哀愁』と訳されたということを前回のゼミ授業で山岸先生にお教えいただきましたが、素晴らしい題名をつけるためには日々の勉強が大切だと思いました。適切な言葉を駆使すべく精進して参りますので厳しいご指導を宜しくお願い申し上げます。また、山岸先生のお言葉を心に刻み「遠くへ行きたい」の訳出に取り組んで参りますので宜しくお願い申し上げます。

K.S.(現ゼミ3年次生)


タイトル

K.S.君

投稿日

2005/10/28(Fri) 09:15

投稿者

山岸勝榮

K.S.君
 貴重な情報をありがとう。どこのテレビ局だったか忘れましたが、ケニー・ボール楽団と「スキヤキ」というタイトルの由来との関係を放映していたのを見たことがありますが、「なるほど」という印象を持った記憶があります。村上春樹の言うことにも一理ありますし、外国人が自分達の感性に合うようにタイトルでも何でも変えるのは自由ですが、日本人としての私の感性からすれば、原詞の内容が分かるだけに、Sukiyakiは(正直なところ)あまり好きなタイトルではありません。「上を向いて歩こう」の原詞の内容をよく表すもので、しかも英語圏の人によく分かってもらえるようなものを考え出す努力も必要でしょう。
 Elton JohnのCandle in the Windをイギリスの食べ物にあるからと言って、「フィッシュ・アンド・チップス」として、それでイギリス人は喜ぶと思いますか? 「キドニー・パイ」ではどうでしょう。私がやったように「イングランドのバラ」ではどうでしょう。
 歌や詞(詩)には、それを作った人の思いいれがあります。それを最大限に活かすのが訳者の仕事でしょう。その意味で、私は村上春樹の考え方とは違ったものを持っています。いずれにせよ、貴重な情報をありがとう。
10月28日(金)朝 山岸


タイトル

山岸勝榮先生

投稿日

2005/10/29(Sat) 08:28

投稿者

K.S.  

山岸勝榮先生

 ご多忙の中を、私の書き込みにお返事をお書きくださりまことにありがとうございます。
 私も山岸先生がお書きくださったご文章に賛成致します。詞(詩)の題名を訳す際に、翻訳者は作者が意図するものを最大限に尊重し、その翻訳されたものを読むであろう人が原詞の内容を誤解せずに理解できるような題名に仕上げるべきだと思います。
 もし「Candle in the Wind」の邦題をイギリスの有名な食べ物の名前にしてしまったら、Dianaのために書いた詞を日本人に馬鹿にされたと思いElton Johnは深く悲しみ、そして憤りさえ覚えるのではないかと思います。ゼミ授業で山岸先生がお教えくださったように、「イングランドのバラ」と訳すと原詞の内容を見事に表していると思います。
 歌や詞(詩)を翻訳する機会がありましたら、作者の思い入れを最大限活かすような訳になるように取り組んで参ります。

K.S.(現ゼミ3年次生)


タイトル

山岸勝榮先生

投稿日

2005/11/11(Fri) 22:00

投稿者

K.T.

山岸勝榮先生
 「上を向いて歩こう」が「スキヤキ」という題名になった経緯については以前読んだり聞いたりしたことがございます。その時も、英語の題名を安易に決め過ぎではないか、それについてもっと考えるべきではないかと強く感じました。英語母語話者が「上を向いて歩こう」を発音しづらいのはわかりますが、そうであるからと言って、「スキヤキ」にするのはどうかと思います。「日本と言えば、『スシ』あるいは『スキヤキ』だから、曲の題名を『スキヤキ』にしよう」と決めてしまうのは、日本を馬鹿にしているようにさえ感じます。そのような次第ですから、先生のご意見に賛成致します。
 「上を向いて歩こう」が「スキヤキ」になってしまうということは、日本がその程度しか認識されていないことの表われであるとも考えられますから、日本の言語文化をきちんと伝えていくことの重要性をあらためて痛感致しました。
K.T.(院生、特修生)


タイトル

K.S.君

投稿日

2005/10/29(Sat) 03:03

投稿者

W.S.  

「スキヤキ」に関する文章を書き込んでいただき、有難うございました。坂本九の「上を向いて歩こう」が海外で「スキヤキ」と呼ばれていることにも非常に驚きましたが、村上春樹さんの文章を読んで更に驚きました。私たちも今回「Colors of the wind」や「Candle in the wind」のように英文の曲を日本語に訳す勉強をさせていただきました。しかし、タイトルを訳出する際に日本語でどう表現すべきか迷った・または、その英文が覚えづらかったからといって、曲とかけ離れた日本語に訳出してしまうという発想は、日本人にはなかなか無いもので、海外ならではのユニークな発想だと思いました。私たちが音楽・映画・書籍などの作品を選ぶ際に、真っ先に目に留まるのはやはりタイトルだと思います。それだけタイトルというのはその作品を人々に印象付けるために重要なものだと思います。K.S.君もおっしゃっているように、人々の心にインパクトを与えるタイトルを考え出すには、日々の勉強の積み重ねで自分自身の語彙力の引き出しを多く身につける事が大事だと私も感じました。

W.S.(現ゼミ3年次生)


タイトル

W.S.さん

投稿日

2005/10/29(Sat) 08:56

投稿者

K.S.  

W.S.さん

 W.S.さん、おはようございます。私の文章にお返事を書いてくださりどうもありがとうございます。「Colors of the Wind」と「Candle in the Wind」の訳出を通して、詩を訳す際に考えるべきことや注意すべきことを学ぶことができました。英語の題名をそのまま訳すと印象が弱くなったり悪くなったりしてしまう場合は、原詞の内容をよく表した題名を本文の中から見つけ出したり、考えたりすることが必要であるということは特に勉強になりました。内容を上手に表すタイトルをつけるためには、W.S.さんが書いていらっしゃるように日々の勉強の積み重ねが必要不可欠だと思います。図書館で英詩集を何冊かぱらぱらと読んでみたのですが、思わずため息をついてしまうような美しい訳文を書いておられる翻訳者の方が少なくありませんでした。小説や新聞なども読む必要があると思いますが、豊かな想像力を要する詩をよむことも重要だと思います。研ぎ澄まされた英語の感覚を身に着けるべく日々勉強して参ります。

K.S.(現ゼミ3年次生)


タイトル

K.S.君

投稿日

2005/10/29(Sat) 19:54

投稿者

I.M.  

K.S.君

 今回、坂本九さんの「上を向いて歩こう」に関する記事をご紹介くださり、まことにありがとうございます。山岸先生が前回のゼミ授業で「上を向いて歩こう」という曲が「スキヤキ」という題名で認知されているとお話し下さいましたが、山岸先生のお話を伺っているうちに「なぜアメリカでは『スキヤキ』という題名なのだろう」と疑問を感じておりました。
村上春樹さんが『村上ラヂオ』という本の中で書かれている内容が事実ならば、「随分と安直に付けられた題名だな」と思います。また「イギリスのレコード会社の社長命名」の説が事実であったとしたら、まるで冗談ではないかと疑ってしまうようなお話に感じました。
K.S.君の書き込みを読んで、私も題名の訳出の重要性を感じました。次回ゼミ授業課題の「遠くへ行きたい」は、翻訳する上で非常に難しい作品であると思います。しかし、よりよい翻訳作品となるように、切磋琢磨致しましょう。貴重なお話を書き込んでくださり、まことにありがとうございました。
日に日に寒くなって参りました。風邪を引かれませぬように、ご自愛ください。
2005年度ゼミ生 I.M.


タイトル

I.M.さん

投稿日

2005/10/30(Sun) 05:02

投稿者

K.S.  

I.M.さん

 私の書き込みにお返事を書いてくださりありがとうございます。I.M.さんも書いていらっしゃいますが「上を向いて歩こう」が「スキヤキ」と認知されてしまったことには私も驚きました。日本人であれば誰もが冗談なのではないかと疑ってしまう話であると思います。「上を向いて歩こう」が全世界で聞かれているということは大変素晴らしいことですが、作者が書いた原詞の内容にできるだけ近付けた題名を当時付ける必要があったと思います。Sukiyakiにしたことで確かに言いやすくなったのかもしれませんが原詞とはまったく関係がありませんし、さらに言えば、すき焼きという日本の食べ物が世界の人たちにどれだけ知られているのかという問題もあると思います。本当の「スキヤキ」の意味を知らずに上機嫌で聴いたり歌ったりしている人がどれだけいるのかと考えると、「スキヤキ」という題名を付けたことが良かったのか悪かったのかわからなくなります。ただ、「スキヤキ・ソング」という歌が世界中の多くの人々に与えた影響を考えると何も言うことはできません。きっと、この曲を聴いて夢を持ったり希望に燃えたりした人たちもいたと思うからです。いずれにしても、「上を向いて歩こう」という1つの楽曲が全世界で大人気になったのは、Sukiyakiと訳された題名が持つ強い印象と、何よりも楽曲の良さにあったのではないかと私は思います。
 「遠くへ行きたい」も素晴らしい作品だと思います。今訳出していますが、訳出するのが難しい箇所がいくつもあると思います。分けられたグループで話し合いをしたり、ゼミ授業で疑問点を話し合ったりしながら良い訳を考えて参りましょう。
 今朝も冷え込んでいますから風邪などを引かないように気をつけてくださいね。

K.S.(現ゼミ3年次生)


タイトル

K.S.君

投稿日

2005/11/02(Wed) 10:08

投稿者

S.M.  

K.S.君

おはようございます。坂本九の「上を向いて歩こう」が世界で「スキヤキ」と呼ばれるようになった由来について書き込んでくださり、ありがとうございます。とても興味深いお話ですね。皆さんにも良くあることだと思いますが、私は音楽を選ぶとき、歌っているアーティストはもちろんですが、題名で、その音楽を聴こうと決めることがよくあります。山岸先生から、「上を向いて歩こう」が世界では「スキヤキ」として親しまれているというお話を聞いたとき、例えば、なんとなく気分が落ち込んでいるときに、何か音楽を聴こうとして、いくらその曲が素晴らしくとも「スキヤキ」という題名の音楽を手に取ることは、私の場合ないであろうと思いました。題名というものは、その歌がどのようなことを訴えかけるものかを、一目で分からせるための、とても重要な要素であると思います。世界では「スキヤキ」としてなじんでいますが、確かにその題名も、奇抜で目立つので、一案としては良いと思いますが、やはり日本人としてこの歌を聴いてきた私としては、もう少し歌の内容をあらわすような題名にしたほうが良かったのではないかと感じました。
本日の授業と来週の授業で「遠くに行きたい」の英訳に取り組みますが、歌の内容ももちろん題名も、より良い訳ができるように切磋琢磨してまいりましょう。

2005年度ゼミ生 S.M.


タイトル

S.M.さん

投稿日

2005/11/04(Fri) 02:09

投稿者

K.S.  

S.M.さん
 
 こんばんは。私の文章にお返事をくださりありがとうございます。S.M.さんが書いていらっしゃるように、気分が落ち込んでいるときには「スキヤキ」という題名の曲を手に取ることはあまりないと私も思います。原題を直訳して意味がよくわからない題名にするよりは、その作品の内容をあらわしている一節を原文から抜き出すなどして、それを題名にしたほうが良いと思います。「遠くへ行きたい」を今回翻訳してみて、言葉の選び方や題名の付け方の難しさを痛感しました。適切な言葉で英訳できるように、詩集や歌詞カードなどをよく読み語感を磨いて参ります。来週のゼミ授業までに、より良い訳出ができるように切磋琢磨して参りましょう。

K.S.(現ゼミ3年次生)



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