論文博士(応用言語学)の軌跡 

DOCTORATE BY WAY OF DISSERTATION (PH.D. IN APPLIED LINGUISTICS)
TRACING HIS FOOTSTEPS



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明海大学大学院応用言語学研究科学位授与者数(こちら

                                                                         

法政大学大学院人文科学研究科英文学専攻修士課程(英語学・言語学専攻)を修了し、そのまま博士課程に進学したのは昭和44年[1969年]4月でした。昭和47年[1972年]3月には全ての単位を取得して博士課程を「修了」しました。かぎ括弧付きで「修了」としたのは、厳密には、博士号を取得せずに、「単位取得退学」をしたことになるからです。しかし、私の時代、少なくとも私の分野の院生で博士号を取得して大学院を修了するような人は、私の知る限り、皆無でしたし、「単位取得退学」などという用語すら、これも私の知る限り、一般には通用していませんでしたから、だれもが「博士課程修了」と言ったり、書いたりしていました(したがって、厳密さを要求されない場合には私は今でも習慣的に「博士課程修了」と表記しています)。
 因みに、私の言語学・英語学分野での恩師、前島儀一郎先生(故人;左写真)は文学博士号(京都大学)を58歳で、また、私の文学分野での恩師、桂田利吉先生(故人;右写真)は同じく文学博士号(法政大学)を59歳で、それぞれ取得なさいました。55歳で文学博士号(法政大学)
取得なさった、同じく私の文学分野での恩師・岡本成蹊先生(故人;右下写真)は、当時としてはむしろ“若手”に属しておられたような気がします。中には、もっとお若く、40歳になるかならないかというお歳で文学博士号を取得なさった方もおられたようですが、一般的には、文学博士号とは、学問・人生の集大成として、周囲の大方の推挙もあってのちに申請する学位というように理解されていたと思います。シェイクスピア学者・文芸評論家としてご高名であった本多顕彰先生(故人)は、博士号に関連して、次のようなことを書いておられます。

    一年か二年のあいだ、死んだつもりになって、馬車馬のように目かくしをしながら、まっしぐらに書いて、一刻も早く学位に
     ありつこうというようなことは、学者のすることではない。ジャーナリズムはときどきそのようなことをしなくてはならないけれ
     ども、しかし、すぐれたジャーナリストだったら、基礎を築くのに何年も年期を入れている。博士制度は、やはり、昔のように
     大仕事を検討して、これならよしと思ったときに、博士に推薦するのである。そして教授会は、その推薦理由をよく審議して、
     改めて文部省に向かって学位授与を請求するのである。(本多顕彰著『大学教授』、光文社、昭和31年、183頁)

 私の大学・大学院時代は、本多先生のような考え方をなさる教授が多かったように思います。本多先生ご自身は、たしか62歳で文学博士号(法政大学)をお取りになったはずです。先生ご自身は「文学博士の学位を授けられた」と言っておられました。
 私の知るかぎりでは、当時は、今回私が申請した
応用言語学博士 (Ph.D. in Applied Linguistics)[日本語公式表記は「博士(応用言語学)]という名称の学位は存在しませんでしたから、業績と機会に恵まれれば、私自身も文学博士号 (Litt. D.)を目指すだろうと思っていました。
 


◆博士課程を「修了」してから丸32年が経過し、すでに59歳にもなりましたが、その間、博士号を必須条件とするような研究環境にいなかったことなどから、そのまま今日を迎えていました【ただし、法令の定めのない民間組織によるCIE Ed. D.(国際教育協議会、現・国際教育研究所)の称号は既得でした;→Pdf.】。
 しかし、平成14年[2002年]4月から明海大学大学院と関東学院大学大学院とで講義を担当するようになったのを機に、自らの学問を集大成して、それをしかるべき機関と方法とによって客観的に評価されたいと願うようになりました。幸いなことに、ここ10数年の間に学習和英辞典2点、学習英和辞典1点の編集主幹を務め、その経験を通じて得られた学問的蓄積を整理・分析・統合し、平成13年[2001年]6月には『学習和英辞典編纂論とその実践』(A Theory and Its Practice of Compiling Japanese-English Dictionaries for Japanese Learners;A5版、xiv+479pp.;こびあん書房、2001) として公刊していましたから、これを学位申請論文として学術的評価の対象にしていただくことにしました。
 幸いなことに、私が勤務している明海大学大学院には、現時点では我が国唯一の応用言語学研究科(Graduate School of Applied Linguistics)【平成10年[1998年]修士課程設置、平成12年[2000年]博士課程設置】があり、昨春、すなわち平成15年[2003年]3月には3名の課程博士(応用言語学;甲種)が誕生していました。陳美玲さん、羅福順さん、林嘉惠さんの三院生です。学位論文題目はそれぞれ、「日本語教育のための日中逆説表現に関する対照研究―『でも』類、『けど』類を中心に」、「会話における発話末の日韓対照研究」、「台湾人日本語学習者における破裂音を識別する能力の習得研究」でした。日本人学生が1名も含まれていないのがいささか寂しくもありますが、私の勤務校からいちどきに3名の応用言語学博士(甲種)が誕生したことは、まことに慶賀すべきことでした。
 新設の大学院の場合、論文博士 (Doctorate by way of Dissertation) の学位申請は、課程博士(Doctorate by way of Advanced Course) を送り出した後に受理するというのが一般的慣行のようでしたから、私もそれに従いました。 

 
課程博士が誕生したのを機に、私は論文博士、俗に言う「論博」(ろんぱく)の学位を申請することにしました。大学(正確には、大学院応用言語学研究科長)に対し正式に「学位論文(論文博士)予備審査申請書」を提出したのは昨年(平成15年[2003年])の7月7日でした。提出したものは以下のとおりです。
書類完備を確認していただき、「予備審査申請書類受領書」(所定様式)を受け取りました。

ア.学位論文(論文博士)予備審査申請書 《所定様式》 1部
イ.学位論文 1編5部
ウ.学位論文目録   《所定様式》  5部
エ.学位論文内容要旨(2言語) 《所定様式》 各5部
オ.履歴書   《所定様式》  5部
カ.研究業績書  《所定様式》  5部
キ.参考となる他の論文等  3編各5部
ク.本大学院応用言語学研究科博士後期課程を担当する専任教員の推薦状  1部
ケ.その他
申請者が編集主幹を務めた和英辞典の社会的評価を裏付けるさまざまな書類
(書評等)
各5部 

          
 本学以外の申請者の場合、このほか、最終出身学校の卒業[修了]証明書を1部、成績証明書を1部、それぞれ提出しなければなりません。
因みに、予備審査手数料は徴収されません。

 
◆上記の「学位論文(論文博士)予備審査申請」に対して、第5回応用言語学研究科委員会(平成15年[2003年]9月11日開催)において、「論文博士学位論文審査に係る予備審査委員の選出について」と題して審議された後、予備審査委員が選出されました。委員は以下の先生方でした。

主査 原口庄輔教授 応用言語学研究科教授
副査 小池生夫教授 応用言語学研究科長
副査 田部滋教授 応用言語学研究科教授

 
 なお、申請(7月7日)から予備審査委員会設置までに2ヶ月以上を要したのは、間に夏休みが入ったためです。



◆第8回応用言語学研究科委員会(同年12月月17日開催)において、主査・原口庄輔教授より論文博士学位論文予備審査の結果についてのご報告がありました(当然のこととして私は事前に退席)。また、同日夕刻、応用言語学研究科長・小池生夫先生名で、「2003年度応用言語学研究科論文博士学位論文予備審査結果について」と記された通知書をいただき、予備審査に「合格」したことを知りました。
 

 
◆続いて、同年12月20日「学位論文(論文博士)審査申請書」を提出して受理されました。この申請書を提出する際、所定様式による「学位論文題目和訳・英訳届」を提出することが義務付けられていますが、ありがたいことに、その他の書類は全て予備審査に使用したものをそのまま流用できました。この時に審査料(本学専任の場合は50,000円)を大学に納付しました。因みに、審査料は本学専攻生が50,000円、本学研究生が200,000円、それ以外の申請者が300,000円と規定されています。

 
◆次に私に課せられたのは「学力確認」であり、これに関しては、学位規定に次のように記されていました。

論文審査終了後、学位論文を中心として、それに関連のある専門分野及びその基礎となる分野に関する学識並びに申請者の母語以外の日本語、英語及び中国語の1種類について、口述又は筆記により試験を行います。
 ただし、申請者が提出した書類等の審査により、本大学院応用言語学研究科の博士後期課程を修了して学位を授与する者と同等以上の学力を有し、かつ、研究者として自立して研究活動を行なうに必要な能力を有すると認められる場合は、この審査をもって学力確認の一部又は全部に代えることがあります。

 試験実施の有無、日程等詳細は別途通知します。


 私自身が明海大学外国語学部・同大学院応用言語学研究科の専任教授でしたので、上記の試験は免除となりましたが、念のために私が英語を用いて書いた学術論文(国際学会での発表論文および国内で公表した学術論文)、その他(著名商業誌に掲載された英文随筆)を数編、審査用として提出し、受理・評価されました。


 
◆続いて、「公開発表会」が設定されていましたので、それの準備に入りました。日時は平成16年[2004年]2月5日(木)午後5時から午後7時までの2時間でした。私はこの公開発表会に次のようなハンドアウトを用意し、それに基づいて発表を行い、審査員の先生方の口頭試問を受けました。
審査員以外の先生方からも質問やら感想やらを寄せていただきました。院生時代に立ち戻ったような、何か懐かしい感じのする2時間でした。

            
 
                論文博士学位論文審査に係る公開発表会



                審査対象論文:山岸勝榮著『学習和英辞典編纂論とその実践』
     
            英文名: A Theory and Its Practice of Compiling Japanese-English Dictionaries
                    for Japanese Learners
 
(こびあん書房、2001年刊、xiv+479pp.) 



論文の構成と要旨

まえがき:
 幕末から明治にかけての我が国の時代的急務といえば、欧米先進国の知識を吸収し、近代国家を建設することであった。したがって、英語を初め、欧米列強諸国の言語を日本語に翻訳し、その内容を咀嚼し、活用することが求められたから、「解釈用辞典」(decoding dictionary)―英語の場合を例に採れば「英和辞典」の編纂―に関係者の主力が注がれ、学校教育も「受信型」(=passive)の傾向を強めていった。そのような時代の潮流の中で、日本人が自分達の言語文化を外国に向けて伝えようというような「発表用辞典」(encoding dictionary)を求める国家的要請はほとんど生じなかった。換言すれば、「発信型」(=active)を必要とする時代背景がなかったのである。この傾向に拍車をかけたと思われるのが大学入試である。ここでも同じく「解釈」を求める出題が圧倒的に多かった。和英辞典に関しては、「和英辞典は入試の邪魔である」とか「英作文をやる時には絶対に和英を使うな。自分の知っている単語で表現しろ。和英で引いたような単語はすぐに忘れる」と極論する英語教師も少なくなかった(し、現在もそうである)。因みに、筆者はかつて、大学生223名を対象に、彼らの高校時の辞書使用状況をアンケート調査したことがあるが、それによれば、高校時に和英辞典を多用したと思うと回答した学生は、わずか2名に過ぎなかった(本論考第19章に詳述)。 こうした傾向は戦後も続き、英語教授法事典や英語学事典の類を見ても、英和辞典に関する解説の多さと比較して、和英辞典に関する解説はあまりに少ない。和英辞典に対する人々の関心が低く、それと連動してそれへの需要が低ければ、当然和英辞典の改良が進捗することもない。和英辞典が細々と編纂され続けたものの、多くの編纂者の念頭にあったのは、「英語を母語とする、教養の高い人々が書いた英文の中に用例を求めて、それらを和英辞典にできるだけ多く収録する」とか「日本のこの事物は英語国(特に英米両国)の何に相当するか」ということであった。そこでは「日本のこの事物をどのような英語で発信すれば、相手にはどのように響くか、あるいはどこまで理解され得るか」といった視点に立って辞書編纂に従事する者は稀であった。
 ところが、「語学指導を行なう外国青年招致事業」(Japan Exchange & Teaching Program)によって、英語指導助手 (AETs)八百数十名が、日本人英語教師 (JETs)とteam-teachingを行なうために我が国に招致され始めた1987年(昭和62年)あたりから、英語教師・学習者の学習和英辞典への関心はそれまでになく高まっていき、学習和英辞典を対象とした論考も増加し始めた。その時代的先取りをしたかのように、1984年(昭和59年)には、本格派学習和英辞典と呼べる『ライトハウス和英辞典』(研究社)が出版された。その後、教育現場でも「実践的コミュニケーション能力」の育成が叫ばれ、英語教師が和英辞典を活用する機会も多くなっていった。本論考は、そのような歴史的背景を考慮に入れながら、我が国における学習和英辞典が抱えてきた諸問題を整理・分析し、それら諸問題の本質を明らかにして、全てに解決策・代案を示した本邦初の本格的和英辞典論である(学習和英辞典編纂に関する論考や理論はこれまでにも散発的に発表されているが、本論考規模のものは皆無である)。これによって、自らが編集した辞典を含め、今後の学習和英辞典に大きな発展が望めることは疑いをいれない。本論考がどのような貢献を果たし得るかの具体例は、各章の詳述によって理解できるはずである。 本論文は、全体で5部、22章から成る。

第1部 和英辞典の史的側面

第1章  和英辞典出版略史
 我が国における和英辞典編纂史は、米国人宣教師であり、医師でもあったJ.C.ヘボンが出版した『和英語林集成』(A Japanese-English Dictionary)の出版と共に始まる。ヘボンの辞書から29年後の明治29年(1896年)には、Francis Brinkley・南條文雄・岩崎行親編『和英大辞典』(三省堂)が出版されており、ヘボンの辞書の2倍を優に超えるA5版1687頁の大著であったが、ヘボンの影響を受けており、日本人向けであると同時に、外国人日本研究者向けであった。明治42年(1909年)には、ヘボンからの影響を脱した初の和英辞典、井上十吉編『新譯和英辞典』(三省堂)が出版された。同書(1872頁)は、主に日本人中学生の英作文や英会話の助けになることを編集目的としており、語義区分の訳語の並べ方など、今日的基準からすれば、きわめて原始的であるが、その後、長く続く和英辞典の記述方式の原型となったものである。同書は大正時代に入ってからも用いられた。井上はその後、『井上英和大辞典』(至誠堂、大正4年、1915年)、『井上和英大辞典』(至誠堂、大正10年、1921年)のような大部のものを出版したが、いずれの辞典も当時のベストセラーになって、多くの日本人に活用された。
 大正7年(1918年)には、当時としては我が国最大の和英辞典となった『武信和英大辞典』(研究社、全2448頁)が出版された。同書の第2版は『新和英大辞典』と改名され、今日の第5版(2003年;全2827頁;48万項目)に発展している。第2版以降は英国大使館商務参事官 G.B. Sansomの全面協力を得たことで知られる。いわゆる「ネイティブ・チェック」の嚆矢と呼ぶことができよう。現存する和英辞典では最長の歴史を持つ大型和英辞典となっている。
 和英辞典の中には、たとえば、竹原常太編『スタンダード和英大辞典』(宝文館、大正13年、1924年)のように、用例の全てを英米発行の新聞・雑誌・文学作品等に求め、5万7000を見出し語とし、膨大な数量の例文を整理・再構成して編集したものもある。すなわち、英語圏の人々が書いた英文を元にして編集した辞書という点で、英語らしい英語の収録された我が国初の和英辞典ということになる。時代は下るが、山田和男編『新クラウン和英辞典』(三省堂、昭和36年、1961年)のような学習和英辞典規模のものも、その用例収集の仕方は、竹原と同様、その資料を英語圏の人々の書いたものに求めている。しかし、これらの辞書の弱点は、日本的事物の説明に不足が出がちであるということである。
 そのような傾向のある中で、斎藤秀三郎編『和英大辞典』(日英社、昭和3年、1928年)は異色であった。A5版、見出し語5万、用例12万、総頁数4640頁という、前例のない大和英辞典であったことも特筆に値するが、これを斎藤単独で編纂したところに超人性が認められる。斎藤はその序文において、「日本人の英語はある意味で日本化されなくてはならない」(The English of the Japanese must, in a certain sense, be Japanized.)と、当時としてはユニークな見解を述べており、その点で、英語的英語を目指した竹原常太の上記和英辞典とは好対照を成している。しかも、斎藤の和英辞典には漢詩・和歌・俗謡・俚言類の英訳が多数盛り込まれている。斎藤はまた、「英米人の文章の引用文は英和辞典の場合はよいが、和英辞典には載せてはならない」(So that quotations may have their place in an English-Japanese dictionary, but not in a Japanese-English dictionary.)とまで言っている。
 昭和8年(1933年)には、岡倉由三郎編『新和英中辞典』(研究社)が出版された。英語名のKenkyusha’s New School Dictionary (Japanese-English)からも分かるように、学習和英辞典の範疇に入るものであり、実際、主な編集材料は、当時の中学校用英作文教科書や入学試験用問題に求められている。その点で、大いに日本的な学習辞典といえる。
 このような過程を経て、本格的学習和英辞典の嚆矢とも言うべき『ライトハウス和英辞典』(研究社、昭和59年、1984年)が、また平成3年(1991年)には、日本語と英語のスピーチレベルを可能な限り一致させ、日本(人)的視点にたって見出し語を定義し、それにふさわしい訳語・用例・解説を付した『ニューアンカー和英辞典』(学習研究社)が発行された。これは筆者(山岸)が編集主幹を務めたもので、現在は『スーパー・アンカー和英辞典』と改名されて、学習和英辞典では最も高い人気と信頼を勝ち得ているものの1点であるが、同辞典はまた、日本語監修者を登用して、収録される日本語を精査した我が国初の和英辞典でもある。
 本章では、このように、ヘボンの手に成る『和英語林集成』から始めて、現代に至るまでを、各辞典の特徴などに言及しつつ通観した。なお、本章には、「ハイブリッド方式和英辞典」と銘打って出版された『ジーニアス和英辞典』(大修館書店)も含まれるが、同辞典が内包する深刻な諸問題は別途、章を改めて(第21章)詳細に論考している。

第2部 学習和英辞典編纂論とその実践


第2章     学習和英辞典―対象と目的
 「学習和英辞典とは何か」という問題が本格的に検討されることは過去にはほとんどなかった。因みに、筆者は「学習和英辞典」を、「日本人学習者が日本語を英語に直す際に必要となると思われる言語・文化情報を、十分かつ適切に提供することを目的として編纂された学習辞典のこと」と定義した。このほか、「学習和英辞典はどのようにあるのが望ましいか」といった疑問が提起されることも少なかった。そこで本章では、「学習和英辞典とは何か」、「学習和英辞典が対象とする学習者はどのような人々か」、「学習対象の英語変種(variety)はどうあるべきか」、「学習和英辞典の目的は何か」、「英和辞典とどこがどう異なるのか」といった点に焦点を絞って、筆者の過去の経験に基づいて論考した。

第3章     見出し語選定の基準と方法
 学習和英辞典の場合、収録見出し語数を無限に増やすことは出来ない。紙面的限界もあれば、学習者の習得知識の限界もある。本章では、主に高校生以上一般人までの使用に供することを目的として編纂された学習和英辞典の場合、高校生以上一般人までの使用に供することを目的として編纂された学習国語辞典で、収録見出し語5万語前後から7万語前後のものを、また、高校生以上、大学生・一般人までの使用に供することを目的として編纂された中型和英辞典クラスであれば、10万語前後を収録している国語辞典を1つの目安にして、それらの見出し語を選定対象とすることを妥当と判断した。

 筆者の場合は、次の3点を大まかな選定基準としている。
  @  日常生活語彙(working vocabulary)―日常的語彙とは日常性・実用性の極めて高い語彙で、
    日本語を母語とする人々のだれもが使用しているもの。基本語彙(basic vocabulary)とか
    発表用語彙(production [active] vocabulary)と呼ぶこともできよう。中学・高校生用の
    国語教科書に使用されている語彙の大半はこの範疇である。
  A   記憶蓄積語彙(stored vocabulary)―難度はかなり高いが、日本人高校生・大学生・一般人が、
    見聞きすれば理解できると思われる語彙。認知語彙(recognition [passive] vocabulary)と
    呼ぶこともできよう。辞典の規模によっては、英語学習に必要と思われる一部の古風な語や
    古語をこの範疇に含め得る。
  B  専門学術語彙(technical vocabulary)―専門分野での基本的な語彙で、日常的に見聞きするもの、
    または学習者が将来出会い、検索の可能性のあるもの。この範疇の語彙は、辞典の規模
    によって、その収録数に差が出ることが予想される。

 本章の特長の1つは、たとえば、「泣いても笑っても」「…であろうとなかろうと」「…と言ったらありはしない[ありゃあしない]」「…(の)ようでもあり…(の)ようでもある」など、既存の学習和英辞典(のみならず国語辞典)で収録漏れになることが普通であった慣用的表現を、そのまま立項するようにしたほうが学習者には便利であると提唱したことであろう。

第4章     良い学習和英辞典の諸条件

 「良い学習和英辞典とは何か」という疑問に対する回答は、上記の「学習和英辞典とは何か」が分かれば、必然的に出て来るものである。すなわち、「学習和英辞典の目的を十分に果すための諸条件を具備しているもの」ということになる。本章では、それらの諸条件を逐一検討している。具体的には、「日常生活語彙[基本語彙]が重点的に記述してある」、「記憶蓄積語彙[認知語彙]の取り扱いが、日常生活語彙[基本語彙]との対比で穏当なものである」、「用例(句用例・文用例)の訳出が適切である」、「言い換え(=記号使用)・発想指示(⇒記号使用)などを適切に行った訳出である」、「学習上有効な用例(句用例・文用例)と情報が豊富である」、「性差やPC(=political correctness)問題の処理が適切である」、「日本人と日本文化が語れるものである」といった諸点に焦点を当てて詳細に論考した。

第5章     学習和英辞典の目指す英語

 学習和英辞典である以上、学習者にどのような英語を提供し、どのような英語を志向してもらうかという点を明確にしなければならない。本章では、我が国における英語学習の歴史的事実を踏まえて、標準イギリス英語と標準アメリカ英語の二大変種を目標英語変種と捉えて、それの習得・利用・応用に役立つ辞典のあり方をつぶさに検討し、好ましい方策を提案した。 
 具体的には「英語圏の人々や英語圏以外の英語話者に無理なく理解してもらえる日常生活語彙を利用した句・文例を多く収録した辞典」を目指す。因みに、Perkins (1998)は「英語圏の人々や英語圏以外の英語話者に無理なく理解してもらえるような文(章)の条件」として次の6点を挙げている。

 @    Be human, active, personal and friendly―not cold, impersonal and passive.
   (1)  Applications for these positions must file application by November 30.→You must apply by November 30.
   (2)  It is hoped that...→I hope...
  A    Be concise―avoid unneeded words and expressions and repetition.
   (1)      In my opinion, the sentence is excessively long.→I think the sentence is too long. / The sentence is too long.
   (2)     As regards power generation, there are various means available.→We can generate power various ways.
  B    Avoid unneeded prepositions, articles, pronouns and the“to be”verbs.
   (1)     We came here by means of a taxi.→We came by taxi.
   (2)     We study in order to learn.→We study to learn.
  C    Use simple, rather than big, words and expressions.
   (1)     call your attention to the fact that...→remind you that...
   (2)     It is my intention to purchase an additional computer.→I’m going to [I plan to] buy another computer.
  D    Use active verbs instead of dull nouns―use active English writing.
   (1)     Efforts will be made...←By whom?
   (2)     Attention must be paid to...←By whom?
  E    Avoid outdated and trite expressions.
   (1)     a bolt from [out of] the blue
   (2)     busy as a bee

  なお、筆者は研究社出版発行の月刊誌「時事英語研究」誌上において、平成10年[1998年]4月号から9月号までの半年間、上記のコンセプトにしたがって、“ネイティブチェックなし”で種々のテーマで英文エッセーを書いたが、これは和英辞典編纂者としての私自身が目指す英語の変種を実際に公表し、大方の批判を受けたかったからである。その英文は私のホームページに再録してある

第3部 学習和英辞典に関する諸問題とその解決法


第6章     訳語に関する諸問題

 和英辞典の一大任務は見出し語に対して適切な訳語を与えることである。その場合、見出し語に的確に対応する語、換言すれば、アーケード(=arcade)、遺伝子(=gene)、いとこ(=cousin)などのような「等価的訳語」(exact [precise] equivalent)と呼ばれるものばかりであればよいのだがそうはいかない。
 たとえば、縁側、押入れ、極楽、床の間、狸など、日本文化が生み出した語にぴったりの対応語はない。これまでの和英辞典はそれらにveranda(h), closet, paradise, alcove, raccoon dogのような訳語を、いかにも「等価的訳語」であるかのように、何の注記も付さずに与えていた。これらは「近似的訳語」(approximate [near] equivalent)と呼べるであろう。
 あるいはまた、お茶 (=Japanese (green) tea)、大根(=Japanese white radish)、旅館(=(Japanese-style) hotel; inn)などのように「説明的訳語」(descriptive [explanatory] equivalent)と呼べるものもある。
 本章では、見出し語として選定される日本語の意味や「日本語性」を、「明示的意味、辞書的意味」(denotative meaning)と「暗示的意味、文化的意味」(connotative meaning)との両面から精密に分析することによって、どのような英訳を見出し語の訳語として添えるのが良いのかを検討し、逐一代案を示している。ここで提示した分析方法は筆者が長年、検討に検討を重ねて辿り着いたものであって、今後の和英辞典作りはもちろんのこと、「X和辞典」(たとえば、仏和辞典、独和辞典)の編纂にも大きな影響を与えるであろう。
 なお、この問題と次章の用例に関する問題に関しては、平成12年 [2000年]7月に行なわれた明海大学大学院応用言語学研究科フォーラムにおいても、「学習和英辞典における訳語と用例に関する諸問題」と題して論考した。

第7章     用例に関する諸問題

 用例のない辞書は骨のない人体のようだと言った人がいるが、適切な用例は和英辞典にも必須である。しかし、「どのような用例を、どこに、どの程度盛り込むか」といった観点から、それを検討した人は筆者の知る限りほとんどいない。また、現行の(学習)和英辞典には無数の「非日本語的表現」や「非英語的表現」が収録されている。それらの諸問題を本格的に整理、分析し、検討を加えたのは筆者が初めてであろう。筆者はまた、「辞書用例学」(Ipsology)と称する学問分野の必要性を強調する者である。本章では、それらの諸問題を論考した。
 たとえば、「非日本語的表現」に関して言うならば、用例に人称詞の「彼」「彼女」を用いて作例する場合に多く出現する問題である。次のような例文に出てくる「彼」「彼女」はいずれも日本語としては不自然な用法である。2例だけ挙げる。 
 
 (1)     残念なことに彼の講義が病気のために中止となった To my regret, his lecture was canceled because
     he was ill. 
 (2)     私は彼に恩返しをしなければならない(→彼の親切に報いなければならない)I must repay him for his
     kindness [favor]./ I must repay his kindness [favor].

 大多数の日本人は、自分の担当教師[教授]・恩人などに言及するのに「彼」「彼女」を使用することに少なからず抵抗を感じるであろう。それと、我が国の英語辞書では「彼」「彼女」に機械的に he, sheが対応語として与えられるが、日本語の「彼」「彼女」の用法と異なり、英語のhe, sheは一度出て来た人物を指す場合に用いるものであるから、唐突に用いると「(動物の)オス、メス」という意味で解釈されてしまう恐れがある。筆者はまた、用例を作例するに当たっては、学習者が間違ったり、躓いたりする語法の実態分析を行なった。たとえば外国語学習者にとって、目標言語を習得する際の困難点の1つは、彼らが第一言語(母語)の干渉を受けるということである。その干渉の1つに、日本人英語学習者が犯す「過剰一般化による誤訳」(mistranslation resulted from overgeneralizing words and phrases)もしくは「刷り込み語句の影響による誤訳」(mistranslation resulted from using words and phrases which remain imprinted on aperson's memory)と呼べる言語現象がある。
 具体例で言えば、日本人英語学習者は学習の初期の段階で、「どうぞ」「もちろん」「面白い」のような日本語を、“please”、“of course”、“interesting”と単純に結び付けて覚えてしまう。そうすると、その関係が絶対的なものだとして彼らの脳裏に「過剰一般化され」もしくは「刷り込まれ」、本来であれば、別の英語表現を用いるべきところでも、そのことに気づかないまま、それらの「過剰一般化された」もしくは「刷り込まれた語句」を正答と信じて用いてしまう。筆者はこのようなことを明海大学外国語学部英米語学科1年生94名を被験者として仮説検証を行ない、その傾向の存在の確証を得て、LP2002国際会議においてもその結果を発表した(題名:Cross-linguistic Knowledge in L2 Mental Lexicon; 日本語で書かれた関連稿はこちらに収録済み) 。

第8章     用例における人名の取り扱い方の問題
 和英辞典は、利用者に親近感を抱かせ、用例に具体性・同時代性などを付与する目的で、実在の人物や映画・小説などの登場人物の名を使用することが少なくない。本章では、それを配列順序(「姓・名の順か、名・姓の順か」)や、選択法(「姓だけか、名だけか」)などで分類し、どのような表記法が学習和英辞典的かという点を検討した。

第9章     用例における性差の問題
 「あなた作る人、私食べる人」というテレビコマーシャルが、性観念の固定化に繋がるもの、先入観によるものとして批判の対象になったことがあるが、およそ辞書と名の付く書物は、男女の平等を謳ったものである必要がある。その観点から、現行の学習和英辞典を観察すると、今もって多種多様な性差の問題を抱えているものが見受けられる。本章では、現行の多数の学習和英辞典に用例を求めて、具体的にはどのような性観念の固定化と見做されるものが収録されているのかを詳細に検討した。その際、主語または話題の中心になっているのが女性の場合、男性の場合と、性別を基準にして用例を抽出した。 

第10章 訳文に関する諸問題

 現行の和英辞典には、用例としての日本文が誤って分析されたために、それに添えられた訳文も不適切になっている例や誤訳が少なくない。以下に3例を示す。

  (1)「教科書に書き込みをしてはいけません(⇒落書きをしてはいけません)Don't scribble in
     your dictionary.」
    ◆この場合の「書き込み」を「落書き」と換言するのは間違い。
  (2)「酒を酌み交わしながら(⇒酒を飲みながら)しばし歓談した We had a pleasant chat over
     a glass of wine.」
    ◆この場合の「酌み交わす」を単純に「飲む」と換言するのは間違い。
  (3)「寝る子は育つ(⇒赤ん坊は寝ている間に成長する)Babies grow (up) in their sleep.」 
    ◆この場合の換言は全体的に間違い。「寝る子は育つ」とは「よく眠る子はよく育つ」という
     意味である。

 本章では、こうした問題のある用例の代表的なものを抽出し、検討を加え、何が問題なのかを検討し、改良のための具体的方策を示した(詳細は第13章「言い換えと発想指示に関する諸問題3」で取り扱った)。


第11章 レジスター・クラッシュの問題

 ある日本文を英訳していて、その英訳に、たとえば、フォーマルな語句とインフォーマルな語句とを混用して不自然な英文を作ってしまうことがあるが、言語環境にそのような不一致が生じることを「レジスター・クラッシュ (register clash)が生じた」と言う。英語を母語としない日本人が和英辞典のための用例を執筆しようとすると、この問題が大きく立ちはだかる。たとえば、次のような場合がそうである。

  (1)   彼女は正当な理由もなく解雇された。
       She got fired for no valid reason.→She was dismissed for no valid reason. 
  (2)   式には著名人が多数列席した。
      A lot of celebrities attended the ceremony.→Many celebrities attended the ceremony. 
  (3)   私は真理の探求に一生を捧げたい。
      I'd like to spend all my life in pursuit of truth.→I'd like to dedicate my entire life to
      the pursuit of truth. 

 本章では、レジスター・クラッシュの具体例を多数挙げ、それらの発生を回避するための方策を提示した。なお、レジスター・クラッシュと次章の「スピーチレベル」に関しては、平成12年[2000年]7月に行なわれた明海大学大学院応用言語学研究科フォーラムでも「和英辞典におけるRegister Clashと Speech Levelの問題」と題して論考した。

第12章 スピーチレベルに関する問題

 話し手と聞き手の個人的・社会的関係や発話の場面などに基づいて区別される発話のスタイルを「スピーチレベル」(speech level)と呼ぶ。換言すれば、「言葉のTPO(時・場所・状況)による言葉の使い分け」のことである。日本語を例に採れば、「(人を)解雇する」と「(人を)首にする」では、意味は同じであるが、これらを使用するTPOは自ずと異なる。英語の場合も同様で、前者に相当するのは dismissであり、後者に相当するのは fireである。現行の和英辞典には、上掲のような、見出し語と訳語との間のスピーチレベル上のズレが生じている例が多数ある。他の具体例を見てみよう。

 (1)   あの男の面を見てみろよ。
     Look at the face on that guy.→Look at the mug [the puss] on that guy.
 (2)   イヌのうんち踏んじゃあだめよ。
     Don't step on the dog's excrement.→Don't step on the dog's doodoo.
 (3)   その手紙を書いたのは僕です。
     It is I that [who] wrote the letter.→I am the one who wrote the letter.
 
 本章では、現行の和英辞典に多数の実例を求め、それらを検討し、具体的改良策を示した。この問題は現行の大学入試問題にも多く見受けられる。筆者は本論考の執筆に先立って、Problems of English in University Entrance Examinations(「ふじみ」通巻第19号収録)という論考を発表し、大学入試問題におけるスピーチレベルの不自然さを指摘し、逐一代案を示したことがある。


第13章 言い換えと発想指示に関する諸問題

 第10章で取り扱った「訳文に関する諸問題」のうち、特に「参照記号(→)」を用いて、その記号の示す項目を参照されることから生じる問題点を指摘し、その改良案を提示した。たとえば、某和英辞典で「食う」を引くと、「食べる」を見よとの指示がある。しかし、これは不適切である。なぜなら、日本語には「食う」と結び付くほうが慣用上自然なものが少なくない。たとえば、「蚊が食う」、「(鳥・魚などが)餌を食う」、「時間を食う」、「肩透かしを食う」、「一杯食う(=だまされる)」、「割りを食う」などである。これらを「食べる」で換言するわけにはいかない。また、「肥やし」から「肥料」を参照させている辞典もある。しかし、これでは、「肥やし」の比喩的用法(「あるものの成長の助けとなるもの」)の例を収録することができなくなる。さらに、辞典によっては「発想指示(⇒)」を入れて、利用者の便を図っているものもある。問題はその発想指示が誤っている場合である。第10章の例にも採り上げたが、某和英辞典は、「教科書に書き込みをしてはいけません(⇒落書きをしてはいけません)Don't scribble in your dictionary.」のような例を収録しているが、教科書に「書き込みをする」ことと「落書きをする」こととは異なった行為である。
 本章では、上記のような例を多数採り上げて、言い換えと発想指示の問題点を整理、検討し、それらの望ましい処理法を提示した。


第14章 学習和英辞典音声事項の問題 
 
 本章では、学習和英辞典において、発音記号を添える場合の客観的基準、イントネーションの問題を処理する場合の方法、イントネーション記号を添える場合の客観的基準などについて検討した。


第15章 英語母語話者の参加の問題

 和英辞典編纂作業に編集委員の一員として、いわゆる“ネイティブ・スピーカー(native speaker)”が正式に加わったのは研究社の『新和英中辞典』(1983;第3版)が最初であろう。
 本章では、同辞典が英語母語話者の参画によって、先行2版よりもどの程度改良されたかを例に採りながら、英語母語話者を参加させることの意義、参加させる場合の注意点、英語母語話者の限界等を論じた。

第16章 学習和英辞典で扱う言語と文化の不可分性の問題
 言語と文化は、切っても切れない関係にある。本章では、これまでの和英辞典編纂で検討の対象にさえならなかった「言語と文化の不可分性」(inseparability of language and culture)の問題を詳細に検討した。具体例2例で見てみよう。

 (1)「うちでは2月3日に豆まきをした」を We scattered beans on February 3.と訳出しても、節分という
    行事を持たない国の人々には、この英文の真意は理解されないであろう。最低でも、We scattered
    roasted beans to drive out[away] evil spirits on February 3.のような説明語句を付加しない限り、
    それが宗教行事であるというような推測も可能にならないであろう。
 (2)「戦時中、この崖からたくさんの人が海に飛び込んだ」をDuring the war many people plunged into
    the ocean from this cliff.と訳出しても、海の身を投じて死ぬという自殺方法になじみのない文化圏の人
    (たとえばカトリック教徒)には、この英文はむしろ戦時中の海水浴を連想する可能性が高い。During the
    war many people killed themselves [died ] by plunging into the ocean from this cliff.のように
    言う必要がある。
 
 本章では、このような、日本文化に根ざしたさまざまな表現を直訳することの問題点を整理、検討し、どのような日本文はどのように英訳することが適当であるかを、具体例と共に示した。
 なお、この問題に関しては、明海大学大学院主催第5回応用言語学セミナー(平成14年12月8日)において「英語辞書と語彙と文化」と題した講演の中でも取り扱った。 

第17章 日本的語彙項目・表現の取り扱い方の問題  
 
 甘え、因縁、縁、縁起、遠慮、親不孝、恩、義理、孝行、恥、罰(ばち)、いじらしい、いちゃつく、けなげ、渋い、のろける、ひがみ、風流などの日本語にはぴったりの英語対応語がないが、それはなぜか、現行の諸和英辞典における訳語の問題点は何か、どのように改良すべきなのかといった点を詳細に論じ、逐一代案を示した。これによって、日本的語彙項目の意味分析や解説の重要性や、それらの困難点が再認識されるはずである。また、和英辞典である以上、「行って来ます」、「行って(い)らっしゃい」、「いただきます」、「ごちそうさまでした」などの日本語表現を収録せざるを得ないが、本章では、それらを収録にあたって、どのような点に注意し、どのように処理すればよいのかを論じた。日本語を英語に直すということは、日本語の意味にもっとも近似のものを英語の中に見つけ出し、それで換言するということである。したがって、その努力を惜しまなければ、たいていの日本語は英語に翻訳可能になる。たとえば、きわめて日本的と言われる「演歌」のようなものでも翻訳は可能である。一見翻訳が不可能だと思える場合には、それを「描写;説明」(describe)すればよい。


第18章 日本的事物の取り扱い方の問題
 押入れ、座椅子、おでん、おにぎり[むすび]、門松、刺し身、除夜の鐘、すき焼き、大安、てんぷら、落語などは日本人の生活になくてはならない事物であるが、比較的最近まで、こうした日本的事物は、そのほとんどが(強引にでも)英訳を試みられて和英辞典に収録されるのが普通であった。たとえば、最初の「押入れ」は、かつてはどの辞典も“closet”と訳された。しかし、日本語の「押入れ」と英語の“closet”とでは、これらの語が言及する実体には大きな違いがある。また、「座椅子」の場合には、“a legless chair (for use on tatami)”とか“a chair without legs (used in a tatami-mat room )”と訳す辞典がほとんどであるが、これは言辞矛盾である。そもそも“chair”とは“a piece of furniture for one person to sit on, which has a back, a seat, and four legs”(LDOCE) ということで、“legs”があることを前提としている。むしろ「a zaisu ; a seat with a back but not legs(>説明的な訳)」のような表記にしたほうが有益であろう。
 本章では、このような(強引な)英訳の問題点を指摘し、そういった日本的事物は、むしろそれらをローマ字化して、解説的・説明に定義を付与するほうが、学習者・利用者には便利であるということを力説した。日本人が考える「神」は“kami / higher being / higher power”のような言い方のほうが適切であることを和英辞典の中で指摘したのも筆者が最初であろう。


第4部 学習和英辞典と英語教育


第19章 和英辞典使用状況

 本章では、高等時代に、和英辞典が日常的にどの程度利用されたかを、明治学院大学・慶應義塾大学の学生223名を対象にアンケート方式によって調査し、その実態を明らかにした。これによって再確認されたことは、我が国の英語教師のほとんどは和英辞典に目を向けてこな かったという事実であり、「英語学習・大学受験の邪魔である」とまで極論する教師も少なくないという現実であった。

第20章 学習和英辞典と学校文法と現実語法
 1冊の学習和英辞典が発行されると、購入者である学習者・英語教師等から、多種多様な質問を受けるが、その中には、伝統文法(traditional grammar)あるいは学校文法 (school grammar)と異なった記述や用例が収録されているが、どうなっているのだというような趣旨のものも多い。1例を引けば、筆者が主幹を務めた『ニューアンカー和英辞典』の「いい」の項には、次のような対話が収録されている。   
   
   「いい天気ですね」「ほんとうに」
   “Nice day, isn't it?”“Yes, isn't it?”  

 これに対して、ある高校教員からクレームがつき、「“Yes, isn't it?” などという言い方はしない。標準英語では“Yes, it is.”となるはずで、学習和英辞典と銘打つ以上は、そういう標準英語を収録すべきである」と 厳しく言われたことがある。残念ながら、この方には現代英語の現実が分かっておられないのである。“Nice day, isn't it?”に対しては、“Yes, isn't it?”“Yes, isn't it.”“Isn't it.”“It really [certainly / sure] is.”“Yes, it's beautiful.”など、多様に答えられるのである。第一、“Yes, it is.”という答え方は冷たい感じがして、友好的でない。
 本章では、学習和英辞典に関連して寄せられるそうした多種多様な疑問・質問 を整理、分析し、それらをどのように処理すれば良いのかを中心に、学習和英辞典と学校文法と現実語法との関係を論じた。


第5部 学習和英辞典関連の問題


第21章 ハイブリッド方式和英辞典に関する諸問題
 
 1998年「和英辞典に英和辞典の機能を組み入れ、英和辞典と和英辞典の融合を目指した第一歩の試み」として、小西友七編『ジーニアス和英辞典』(大修館書店)が刊行された。「この辞典は、正確に言えば、『ジーニアス英和辞典《改訂版》』の和英検索と、従来の和英辞典という2つの機能をハイブリッドしたもの」(同辞典「まえがき」より)である。しかし、残念ながら、同辞典は和英辞典としては多種多様な欠陥を内包した辞典であると言わざるを得ない。 
 同書の最大の問題点は、『ジーニアス英和辞典』の“和”の情報部分を“和英”検索用にして流用したこと自体にある。実例を何例か見てみよう。

  @「政教分離」を見ると“the separation of church and state”とある(初版)。しかし、これは英米の
    ようなキリスト教(やユダヤ教のような一神教)を文化背景に『持つ人々が多い国には当てはまって
    も、日本のそれには当てはまらない。このような利用不可能な訳語が掲載される理由は、『ジーニアス
    英和辞典《改訂版》』のseparationの項に「the separation of church and state」の句例が収録さ
    れていて、それに対して与えられた訳語「政教分離」が、逆利用されてしまったためである。和英辞典で
    あるからには、どうしても“the separation of religion and politics”または “the separation of
    government and religion”のような訳語が必須である。“the separation of church and state” は
     文字通り、「教会と国家の分離」ということであり。国家が特定の教会に(だけ)便宜を図らないという
    意味である。

  A「手袋」を見ると、「手袋のままで失礼します Excuse my gloves.(◆女性が手袋をとらないで握手する
    ときの言葉)」 という用例が収録してある。これは『ジーニアス英和辞典』の“glove”の項にある用例で
    あり、その日本語訳の部分が逆利用されて『ジーニアス和英辞典』に収録されたわけである。しかし、
    これは英語圏(すなわち英和辞典の世界)でなら通用する習慣であり表現であるが、日本では普通は
    使いようのないものである。

  B「よろしく」「今後」「付き合う」の3箇所に「今後ともよろしくお付き合いください」に対する英訳として
    “I hope to see more of you.”が収録されているが、この間違いは深刻である。これは『ジーニアス
    英和辞典』以来の大きな誤訳であり、正 しい意味は「(交際したい異性に対して)あなたと付き合いたい」
    と言っているか、「(欠席がちな生徒・学生などに対して)もっと出席して欲しい」と言っているかのいずれ
    かである。この間違いは最近出版された同和英辞典全面改訂版(第2版;2003年12月10日第1刷
    発行)でもそのまま引き継がれている。

  C「こちら」の項の用例の1つに、「必要な時にはこちらからお知らせします」という例文があるが、その訳文
    と注記「Don't call us, we'll call you.◆人の発言などに無関心な場合に用いる」の両者が問題である。
    これは『ジーニアス英和辞典』の動詞用法のcallの成句欄に収録してあった「Don't call us, we'll call
    you. 《略式》[おどけて]必要な時にはこちらからお知らせします、あまり関係ありませんな《◆人の発言
    などに無関心な場合に用いる》」の部分を逆にしただけであるが、これではこの用例をどのような場合に、
    どう用いればよいのか皆目見当もつかない。これはたとえば、次のように使う。 “We've been trying to
    get work from that company since last year, but they don't seem to give us a favorable answer.”
    “Don't call us, we'll call you, you mean?”“I'm afraid so.” 「あの会社から仕事をもらおうと去年から
    努力してるんだけど、色好い返事をくれそうにないんだ」「“ご連絡はこちらから致しますので、お問い合わ
    せはご遠慮ください”ってやつだね」「そうみたい」 
 
 以上、わずか4例を挙げたにすぎないが、同辞典が内包する問題は多岐にわたり、それも英語学習上きわめて深刻なものが多く、筆者が精査し、本論考にまとめたところ、70頁近くのものになった。
 本章では、筆者は同辞典を「和英辞典」としては欠陥部分を多く内包したものであることを、膨大な具体例を引きながら、客観的・理論的に証明した。これによって、和英辞典のあるべき姿も明確になったはずである。筆者が最も力を注いだ1章である。


第22章 和英辞典の著作権と批評方法
 昭和63年[1988年]、『アンカー英和辞典』の発行元である学習研究社が、『サンライズ英和辞典』の発行元である旺文社を相手取り、後者の辞典が前者の辞典の語義・用例などを大量に盗用したとして、その発行・販売の差し止め、損害賠償・謝罪広告を求める訴訟を東京地裁に起こしたことがある。また、昭和64年[平成元年/1989年]には、研究社の『ライトハウス英和辞典』と『新英和中辞典』とが欠陥だらけの英和辞典だとして、副島隆彦&Dictionary-Busters著『欠陥英和辞典の研究』(JICC出版局)によって酷評され、研究社側がJICC出版局を相手に訴訟を起こしたこともある。これらの事件は、はからずも我が国に辞書批評の伝統も方法論もいまだ根付いていない事を明らかにした。
 本章では、上記したような問題の再発を防止するために、和英辞典を中心に、辞書批評の在り方はどうあれば良いかを論じた。


まとめ
 以上のように、本論文は本邦初の本格的和英辞典編纂論であり、全て学習和英辞典編纂者としての筆者の経験を通じて得られた 情報・ 知見に基づいて纏められたものである。その意味で、本論文は観念的・空論的な執筆態度とは無縁のものである。本論文は、今後、“和英辞典” と名の付くものの改良に多大な貢献をすることは言うに及ばないが、「和仏辞典」「和独辞典」など、「和X辞典」と称されるものの編纂はもちろんのこと、国語辞典、外国人のための日本語辞典の編纂にも同様の貢献を為すであろう。


最後に、筆者が自らの辞書作りのモットーとしてきた2点と、辞書作りの願いとしてきた3点とを記しておきたい。

■辞書は慈書(=言葉を慈しむことを学ぶ書物)たれ。
■辞書は滋書(=言語中枢に滋養を与える書物)たれ。

◆親切で役に立ち、引く人に絶えず喜びと満足を与え得る辞書を作りたい。
◆言語・文化を慈しみ、それに敬意を払うことを教え得る辞書を作りたい。
◆言語・文化の真髄に迫った、生涯学習に結び付き得る長命な辞書を作りたい。

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………………
    付記1.ここでは省略しましたが、このハンドアウトには他に4点の資料が添付されました。
    付記2.私の論文博士公開発表会に先立って、午後3時から5時まで、同じ場所で、朴貞姫さん(博士後期課程)
           による課程博士論文口述試験が催されました。博士論文の題目は「日朝中空間概念の研究」でした。


         
YAMAGISHI, Katsuei
A Theory and Its Practice of Compiling Japanese-English Dictionaries for Japanese Learners               (Tokyo: Kobian-Shobo, 2001), xiv+479pp.

Abstract

In this book the author has analyzed, categorized, and discussed the problems that are included in EFL Japanese-English dictionaries and has presented specific alternative measures to help compile better dictionaries. The twenty-two chapters of the book and the main points of each chapter are as follows:

Chap.1. A short history of Japanese-English dictionaries.
  This chapter sketches out a history of Japanese-English dictionaries from J. C. Hepburn's Japanese-English Dictionary (1867), the first Japanese-English dictionary, to the latest Japanese-English dictionaries.

Chap.2. Japanese-English dictionaries― their targets and purposes.
  The author gives a definition of a Japanese-English dictionary and points out the basic differences between a Japanese-English dictionary and an English-Japanese dictionary.

Chap.3. Criteria of selecting entry words and their methods.
  The author sets definite criteria and proposes methods for selecting entry words for a Japanese-English dictionary.

Chap.4. Conditions of good EFL dictionaries.
  The author presents the conditions of good EFL dictionaries and maintains that they should deal with the“working vocabulary”carefully. 

Chap.5. What kinds of English should be included in a Japanese-English dictionary.
  British English or American English is recommended as the target variety of English for a Japanese-English dictionary.

Chap.6. Problems related to English words for Japanese entry words.
 The author stresses the need of correct analysis of the meanings of Japanese entry words and giving appropriate English words or phrases to illustrate their use.

Chap.7. Problems related to illustrative phrases and sentences.
  The authorstrongly feels a need to reexamine the illustrative phrases and sentences in EFL dictionaries published inJapan since they often include unnatural examples for Japanese learners.

Chap.8. Personal names and their treatment in EFL Japanese-English dictionaries.

  The author shows examples of how an EFL Japanese-English dictionary should choose personal names for dictionary use.

Chap.9. Gender in illustrative phrases and sentences.
  The author deals with the problems of bias-free English for dictionary use and suggests guidelines for bias-free and non-sexist usage.

Chap.10. Problems related to English sentences.
  Quite a few illustrative sentences in Japanese-English dictionaries are unnatural and this unnaturalness has apparently been caused by inappropriate analysis of Japanese entry words.

Chap.11. Problems related to register clash.
 Japanese learners often mix informal English words with formal English words (and vice versa), which results in writing / speaking unnatural English. In this chapter problems which are related to register clash and linguistic facts which are apt to escape the notice of Japanese EFL learners are considered.

Chap.12. Problems related to speech levels.
  Japanese entry words and their equivalent words in translation often result in a clash of stylistic varieties. Informal words are often given as equivalent words to formal entry words (and vice versa). Here the author discusses how to avoid mixing formal and informal styles.

Chap.13. Problems related to paraphrasing and indicating how to translate from Japanese to English.
  Here the author argues that incorrect paraphrasing of Japanese words or phrases leads to incorrect translation.

Chap.14. EFL Japanese-English dictionaries and their problems related to English sounds. 
 The author argues how much space a Japanese-English dictionary should take for dealing with English sounds or pronunciation.

Chap.15. Problems related to the participation of native English speakers in editing an EFL Japanese-English dictionary.

 The author testifies with many examples that, in compiling a Japanese-English dictionary, full participation of native English speakers is indispensable.

Chap.16. EFL Japanese-English dictionaries and their problems related to the inseparability of language and culture. 
  The author testifies with many examples that language has a setting and it does not exist apart from culture.

Chap.17. Problems related to dealing with Japanese lexical items and expressions.

 Since Japanese has its own cultural background, it naturally includes many words and phrases that are difficult or impossible to translate into English. The author argues the difficulty or impossibility of translation of certain Japanese lexical items and gives specific examples.

Chap.18. Problems related to dealing with things Japanese.

  The author gives concrete examples of how things Japanese are better / best translated into English.

Chap.19. How widely EFL Japanese-English dictionaries are being used. 
 Although Japanese learners use English-Japanese dictionaries frequently, they don’t use Japanese-English dictionaries very often. The author supports his case with actual statistics.

Chap.20. EFL Japanese-English dictionaries, school grammar, and forms of speech in actual use.

  Quite a few Japanese English teachers are overly grammar-conscious and busy with grammatical trivia. They simply cannot tolerate a grammatical deviation from the norm and complain about the ungrammatical expressions in Japanese-English dictionaries, however natural they might be in everyday conversation. The author writes about how things stand among Japanese teachers concerning this point.         

Chap. 21. Problems related to hybrid-system Japanese-English dictionaries.
  Focusing upon Taishukan's Genius Japanese-English Dictionary (1998), which claims an ideal Hybrid-system Japanese-English dictionary, the author argues the limitations of using translated Japanese words, phrases, and sentences in an English-Japanese dictionary to make a Japanese-English dictionary since they are basically different types of dictionaries and the languages are culturally different from each other.

Chap. 22. Copyright and criticism of Japanese-English dictionaries.
  Here the author briefly discusses how lexicographers should think about the copyright of a Japanese-English dictionary and how criticism of Japanese-English dictionaries should be made.

 The strongest point of this book is that it has been written drawing on the author's personal experience as editor-in-chief of the New Anchor Japanese-English Dictionary (1991) and the Super-Anchor Japanese-English Dictionary(2001), both of which have been published by Gakken Publishing Company,Tokyo. In addition, the author's academic insights, as an EFL university teacher and a specialist on contrastive linguistics have been successfully included; hence, the book has been written in a very concrete and persuasive manner.

  This book will make a great contribution not only toward solving the problems included in EFL Japanese-English dictionaries, but toward compiling better Japanese-English dictionaries. This book will also have a beneficial influence upon compiling“Japanese-X dictionaries”(such as Japanese-French, Japanese-Russian, and Japanese-Spanish dictionaries).


KEY WORDS:

 1.  Dictionaries

 2.  Japanese-English Dictionaries

 3.  Theory and Practice of Compiling Japanese-English Dictionaries

 4.  Japanese-X Dictionaries

 5.  English-Japanese Languages and Cultures

                                                         



第12回応用言語学研究科委員会(平成16年[2004年]3月5日開催)において、主査・原口庄輔教授より最終審査結果報告がなされ、委員会構成員による学位授与資格判定のための審議および認定のための投票が行なわれました(当然のこととして私は事前に退席)。学位規定には、「構成員(海外出張および休職中の者を除く。)の3分の2以上が出席し、その3分の2以上の賛成をもって決する」とあります。投票の結果、幸いにも、認定のための条件を満たすことができました。多くの方から祝辞を頂戴し、恐縮致しました。

10
       
学長・高倉翔先生名で「論文博士学位授与資格判定結果について」と題した最終合格通知をいただいたのは平成16年[2004年]3月9日でした。申請日から8ヶ月が経過していました。審査委員の先生方を初めとする大学関係者にはほんとうにお世話になりました。改めて御礼を申し上げます。なお、その通知書には、「学位授与式」平成16年[2004年]3月23日に執り行われる旨が記してありました。

11
               
「学位授与式」当日は明海大学学位記授与式(卒業式)でもあり、式典終了直後、高倉翔学長から学長室にて学位記をいただきました。成瀬隆副学長、小泉允圀(まさくに)副学長、小池生夫応用言語学研究科長(論文審査副査)、原口庄輔教授(論文審査主査)、田部滋教授(論文審査副査)もご同席くださいました。申請を思い立ってからさほど長い年月を要したわけではありませんが、なんだかようやく「博士課程を修了した」と言えるような気がしました。遅まきの学位申請・取得でしたが、ご高名な先生方に論文審査をしていただいた上で、我が国における応用言語学分野での「論文博士第1号(応乙第1号)」を授けていただいたことを終世の光栄と致します。
 (付記:私の学位論文に関して、3ヶ月以内に大学側から「内容の要旨および審査結果の要旨」が公表されると聞いております。)【後日注記:同要旨は平成16年[2004年]6月15日付で公刊されました。本欄最下段の書影をご覧下さい】



(この写真は「明海大学 NEWS LETTER 2004年4月号」にも掲載されています。)



【原口教授は平成24年[2012年]6月7日、急逝なさった。合掌。】


平成16年[2004年]3月28日記 





こびあん書房社主・木村欽一氏と(平成16年[2004年]4月1日撮影);
『学習和英辞典編纂論とその実践』(こびあん書房刊)によって取得した
学位であることの御報告・御礼を兼ねて、御病気見舞いに;
私を世に送り出して下さった、私にとっての最大の恩人です。

【木村氏は平成19年[2007年]6月16日、帰らぬ人となりました。合掌。】



審査結果の要旨
【「論文内容の要旨」(B5版全12頁、「英文による内容の要旨」(B5版全3頁は省略】
本論文は、本学教授山岸勝榮氏が和英辞典の編纂と辞書学の研究に長年にわたって心血を注ぎ、情熱を捧げてきた成果をまとめたものであり、英語表現に関する「智恵」が充ち満ちている。本書は、450ページを超す大著である。本論文において、氏は学習辞典の編集に当たって、次の2つを編集理念としているという。
 
 辞書は慈書(=言葉を慈しむことを学ぶ書物)たれ。
 辞書は滋書(=言語中枢に滋養を与える書物)たれ。
 
 本書は、全部で5部22章からなる。第1部「和英辞典の史的側面」(第1章:15頁)、第2部「学習和英辞典編纂論とその実践」(第2−5章:65頁)、第3部「学習和英辞典に関する諸問題とその解決法」(第6−18翔:186頁)、第4部「学習和英辞典と英語教育」(第19−20章:19頁)、第5部「学習和英辞典関連の問題」(第21−22章:71頁)。
 本書のいずれの章も力のこもった論が展開されており、和英辞典の改良への願いを込めて深い現状認識と鋭い問題点の指摘がなされ、山岸氏の和英辞典編纂の理念と願いが明確に提示されている。また、それを実現するために役に立つ提言も随所にあふれている。しかしながら、各部のページ数からも窺えるように、第2部・第3部・第5部が本書の中核をなす部分である。その中でも特に3つをあげると、「よい学習辞典の諸条件」(第4章:28頁)、「訳語に関する諸問題」(第6章:52頁)、「ハイブリッド方式和英辞典に関する諸問題」(第21章:66頁)が本書でもっとも力のこもった重要な部分である。
 まず、第1章「和英辞典出版略史」では、日本における和英辞典に関する歴史的鳥瞰図が得られるような工夫がなされており、過去の主な和英辞典の長所欠点が明確に論じられている。第4章「よい学習辞典の諸条件」では、「辞書は慈書たれ」、「辞書は滋書たれ」という理念に加えて、和英辞典は、「日本人の知情意と真善美の世界を紹介・啓蒙することに寄与するものであってほしい」という願いのもとに、学習辞典の条件が論じられている。たとえば、ニュアンスの違いや、スピーチレベル・スタイルの重要性等が指摘され、これらは、ほかの章でもさらに詳しく論じられている。これらは多くの辞典があまり注意を払っておらず、外国語として英語を書く際に失敗しやすいところだけに、注目に値する。第6章「訳語に関する諸問題」は、日本語を英語で言うときの智恵にあふれているが、1例を挙げると、「ブービー賞」は日本語では「最下位から2番目の賞」であるのに対して、英語の booby prize は最下位賞を表すので、

 ブービー賞 a second-last prize (日本の); a booby prize (英米の)

として説明を付け加える必要があるという。
 第21章の「ハイブリッド方式和英辞典に関する諸問題」は、もっとも力のこもった部分で、ハイブリッド方式の『ジーニアス和英辞典』(大修館書店)を2年以上実際に使った経験に基づいた成果が具体的に盛り込まれている。山岸氏は、実に様々な観点から説得力のある論を展開し、ハイブリッド和英辞典は「和英辞典としては、完全なる“欠陥商品”であると言わざるを得ない」と明確に結論づけている。
 本論文は、氏の長年にわたる研鑽の成果の一部である。本論文には、日本における和英辞典編集の際の指針となる知見(理念)で充ち満ちており、和英辞典の改良のために不可欠な具体的な言語事実も数多く指摘されている。さらに、より一層の和英辞典改良のための「用例学」の提唱もなされており、辞書学研究の発展のためにも極めて重要な意味合いをもっている。
 2004年2月5日、応用言語学研究科において、審査員全員出席のもと、公開で本論文に説明を求めた後、関連事項について質疑応答を行った。また学力の確認を英文で書かれた論文、英文のレジメおよび口頭で行った。審議の結果、博士論文としての水準に十分達していることを認め、合格とする。

 以上の結果、山岸勝榮は博士(応用言語学)の学位を授与される資格が充分にあると認める。



論文博士第2号

学位のご取得、おめでとうございます

博士(応用言語学)
Ph.D. in Applied Linguistics
関西学院大学法学部・大学院言語コミュニケーション文化研究科 門田修平教授

学位請求論文
「第二言語理解の認知メカニズム―英語の書きことばの処理と音韻の役割」
 (How Phonology Works in L2 Reading Comprehension)
審査員
 
主査:小池生夫
 
副査:原口庄輔、河野守夫、田部 滋、和田 稔
学位取得日
 
平成17[2005]年3月23日

向って左から、小池生夫応用言語学研究科長・外国語学部長、山岸、門田修平氏2005年 [平成17年] 3月24日外国語学部長室
にて撮影)
向って左から、 山岸、門田修平氏中井延美氏
(ホスピタリティーツーリズム学部准教授)
 

写真掲載にあたってはいずれの方の場合もご本人のご了解を得ています。

(Photos are posted with the permission of each individual.)




論文博士第3号

学位のご取得、おめでとうございます

博士(応用言語学)
Ph.D. in Applied Linguistics
明海大学外国語学部日本語学科講師 西川寛之氏

学位請求論文
「日本語文末詞の研究 ―文構成要素としての機能を中心に―
 
“Bunmatsushi”- focusing on a function as a component of a sentence -
 
審査員
 
主査:水谷信子

 副査:井上史雄、櫻井隆、田中典子、田部滋
学位取得日

平成19[2007]年3月23日

     西川寛之氏は学部から明海大学に学んだ生粋の“明海っ子”です。
(向って左が私・山岸、右が西川氏)

写真掲載にあたってはご本人のご了解を得ています。



皆様、学位のご取得、おめでとうございます

論文博士 第4号 (2007年9月20日)
石川 圭一氏
Recognition and Production of English Syllables by Speakers of English and Japanese :
Insights from the Syllabification Process and Syllable-Counting Training



論文博士 第5号 (2007年9月20日)
中川仁氏

戦後台湾における北京語同化政策と多言語主義への展開



論文博士 第6号 (2008年3月22日)
大竹 芳夫氏

「の(だ)」に対応する英語の構文


論文博士 第7号 (2008年3月22日)
林 敏潔氏

蕭紅的女性觀研究


論文博士 第8号 (2011年3月22日)
川合 理恵氏
談話レベルから見た台湾人中級日本語学習者の接続表現及び文脈指示詞の運用
−思い出話を談話データとして−

(以上、2011年3月22日現在)




参 考

学位(主に博士号)に関する情報
博士論文書誌データベース国立国会図書館・国立情報学研究所(博士論文を包括的に検索することが可能)
http://dbr.nii.ac.jp/infolib/meta/CsvDefault.exe?DB_ID=G0000016GAKUI&GRP_ID=G0000016&DEF_XSL=default&IS_TYPE=csv&IS_STYLE=default
学位と称号 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A6%E4%BD%8D%E3%81%A8%E7%A7%B0%E5%8F%B7
集中連載 博士号 http://www.seikawakate.com/cuvette/cuvePhD.html
学位論文索引データベース http://www.nii.ac.jp/ir/dbmember/gakui-j.html
学位論文の探し方 http://library.fun.ac.jp/sagasu/04_gakuironbun.html
学位論文の探し方(慶應義塾大学作成) http://www.mita.lib.keio.ac.jp/reftool/right_dissertation.html
日本の大学の学位論文を探すサイト http://www.gsid.nagoya-u.ac.jp/service/library/guide/dis.html
博士論文, 学位論文, etc. & 大学出版局出版図書 http://www.jissen.ac.jp/library/frame/theses.htm
アメリカの大学認可制度と無認可大学 http://www006.upp.so-net.ne.jp/tasumi/02/misc/102.htm
イギリスの大学院と学位 http://ukj.swee.to/column/degree
10 学位研究 http://svrrd2.niad.ac.jp/journal/listj.html
11 こうすれば博士号が取得できる http://www.elect.chuo-u.ac.jp/EEOB/qdoctor.htm
12 大学院:修了と単位取得退学 http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=853600
13 博士の生き方 http://hakasenoikikata.com/
14 文学博士と博士(文学) http://seisaku.yokkaichi-u.ac.jp/Labo/teraishi/teacher/doctor.htm 
15 「工学博士」と「博士(工学)」 http://www.k2.t.u-tokyo.ac.jp/~swk/phd/faq.html
16 医学博士の話 http://www.biwa.ne.jp/~yiwasaki/meddiv12.htm
17 医学博士の家元制度 http://page.freett.com/senmon/soukagakkai/katagaki/hakase_iemoto.html
18 大学院における学位について http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/004/010902/004.htm#top
19 博士論文執筆スケジュール 早稲田大学理工学部電子通信学科 (or 情報学科)http://www.trl.ibm.com/people/itot/research/doctor5.html
20 博士学位取得のプロセス http://www.sfc.keio.ac.jp/mag/magguide/8_2_1.html
21 学位(論文博士)取得希望の方へ(関東学院大学大学院工学研究科の場合)http://home.kanto-gakuin.ac.jp/~kg064002/page/hopegc.html
22 博士号取得方法(大阪大学・同大学院の場合) http://www.let.osaka-u.ac.jp/letters/education/hakase/hoho.html
                        http://www.let.osaka-u.ac.jp/graduate/kenkyu/syutoku.html
23 論文博士廃止 http://blog.livedoor.jp/ikedesu/archives/19899877.html
論文博士の廃止について   http://blog.livedoor.jp/kaikai00/archives/18965330.html
論文博士の廃止について(続) http://blog.livedoor.jp/kaikai00/archives/21639660.html
24 1年で博士号 社会人向けプログラム導入 筑波大 http://www.asahi.com/culture/update/0623/008.html
25 博士後期課程におけるレビュー論文執筆の意義 http://jsl2.li.ocha.ac.jp/saizensen/kaken02-04/Rev&Hakuron(Sasaki).pdf
26 博士論文を探す(海外編)http://www.wul.waseda.ac.jp/imas/guide/howtofind/find_theses_f.html
学位取得関連書籍・ハンドブック等
榊原正幸著『博士号への道―海外で学位をとるために』(同文館出版、2003) ¥1680 【イギリスの文科系の大学院】
酒井和夫著『博士になる方法教えます』(リヨン社、1994)¥1700 【主に国内】
鎌谷 朝之著『アメリカに博士号をとりにいく―理系大学院留学奮戦記』(化学同人、2001)¥1890
ロバート・L/ピーターズ著『アメリカ大学院留学―学位取得への必携ガイダンス』(アルク、1996)¥3262
白楽ロックビル著博士号とる? とらない? 徹底大検証 あなたが選ぶバイオ研究人生(羊土社、2000)¥3045
佐藤孝一著『博士・修士・卒業論文の書き方』(同文館出版、1973) ¥1325
新堀聡著『評価される博士・修士卒業論文の書き方・考え方』(同文館出版、2002)¥2795
吉原真理著『アメリカの大学院で成功する方法―留学準備から就職まで』(中公新書、2004)¥798
Phillips, E. & D. S. Pugh: How to get a Phd―A Handbook for Students and Thier Supervisors(McGraw-Hill, 2000)
10 Davis, G. B. C. A. Parker: Writing the Doctoral Dissertation:―A Systematic Approach (Barrons Educational Series Inc, 1997)
11 Turabian, K. L.:A Manual for Writers of Term Papers, Theses, and Dissertations (The Univ. of Chicago, 1996)
12 学位論文の執筆から提出まで(英文) http://www.uthscsa.edu/gsbs/thesis.pdf
13 学位論文執筆ハンドブック(英文) http://www.morgan.edu/academics/Grad-Studies/pdf/DissThesisHand.pdf
14 All-But-Dissertation Survival Guide  http://www.abdsurvivalguide.com/dissertation-coaches.htm
学位取得者経験談
博士号取得への道(とりあえずリンク集) http://www.s-shibuya.com/essays/roadtodoctor.html
アメリカで博士号 http://shigeki.org/GraduateLife/graduatelife.html
日米の学位取得者の人数比較  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/001/03080701/005.pdf
私の博士号取得まで http://www.sk.tsukuba.ac.jp/DC/PPS/essayDC/tomosada.pdf
博士号取得体験記(慶應義塾大学SFC・西山敏樹の場合) http://web.sfc.keio.ac.jp/~bus/Intro/mag.html
スタンフォード大学留学時代(大学院の学位の知識も) http://www.qmss.jp/qmss/biography/at-stanford.htm#DissertationApproval
博士論文体験記 Collection http://www5b.biglobe.ne.jp/%7Eaiida/dr.html
How to get a Ph. D. in the United States http://web.archive.org/web/20020802191600/http://www.jade.dti.ne.jp/~tsutomuo/phd.html#phd.top
学位を授与されるまで(公開版)小波盛佳 http://www.geocities.jp/morikonamia/gakuikeiken.html
10 博士号への長い道FAQ―慶應大学理工学研究科の場合(1997年度版) http://www.itojun.org/paper/keio-doctor97.html
11 博士号への長い道TM- 東京大学 計数工学専攻 (課程博士) の場合 (2002 年度版) http://www.kagami.org/phd/
12 博士への長いかもしれない道200年度版 早稲田大学大学院理工学研究科の場合 http://www.shudo.net/article/doctor.html
13 学位取得(論文博士)への遠くて近き道のり http://www.neurosci.aist.go.jp/~akaho/thesis/howto.html
14 博士号取得までの長い道のり http://www.geocities.jp/izanippon/roadtodoctor.html
15 博士号への道のり 2003年度版 http://www.sonoda.net/road-to-doctor-j.html
学 位 商 法   Bogus PhD's / Fake Degrees, etc.
 国際的な大学の質保証に関する調査研究協力者会議 (高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)
    http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/024/siryou/04010801.htm#top
 「ディプロマ(ディグリー)・ミル」問題について 
(国際的な大学の質保証作業部会;国際システムWG報告)
   http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/024/siryou/04010803/006.htm

  US Department of Education / Office of Postsecondary Education (米国教育省公認高等教育機関か否かを検索することが可能)
   http://www.ope.ed.gov/accreditation/Search.asp         【“学位工場”(Degree Mill / Diploma Mill)を見分けるのに便利

 Institutions Whose Degrees are Illegal to Use in Texas (米国テキサス州で使用が違法となる“学位”の発行機関)
   http://www.thecb.state.tx.us/AAR/PrivateInstitutions/NoTX.cfm 

 財団法人・大学基準協会 http://www.juaa.or.jp/list/regular/50.html#07
 Japan University Accredition Association  http://www.juaa.or.jp/en/index.html

 財団法人 日本高等教育評価機構 http://www.jihee.or.jp/
 Japan Institution for Higher Education Evaluation
 http://www.jihee.or.jp/english.html 
 『真正な学位と紛らわしい呼称等』の使用に関する注意喚起→こちら
学位商法にだまされないためにhttp://members.at.infoseek.co.jp/gakui_syouhou/
アメリカの学位詐欺(1)―反倫理行為のチェックを  http://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/~kojima/gakurekishasho1.htm
アメリカの学位詐欺(2)―反倫理行為のチェックを  http://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/~kojima/gakurekisasho2.htm
オンラインで学位を購入できるサイトが繁盛(上) http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20020902203.html
オンラインで学位を購入できるサイトが繁盛(下) http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20020904207.html
degree (diploma) mills (卒業証書製造所) http://members.at.infoseek.co.jp/gakui_syouhou/degree.htm
卒業証書製造所 degree millshttp://www.quackwatch.org/04ConsumerEducation/dm0.html
「ディプロマ(ディグリー)・ミル」問題について http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/024/siryou/04010803/006.htm#top
公認の認定団体 The Approved Accrediting Agencies http://www.degree.net/guides/gaap_listings.html
10 非公認の認定団体 Accrediting Agencies Not Recognized Under GAAP http://www.degree.net/guides/non-gaap_listings.html
11 非公認大学リスト(オレゴン州政府による) http://www.osac.state.or.us/oda/unaccredited.html
12 非公認大学リスト(上記11の抄訳;情報は上記11が最新) http://khon.at.infoseek.co.jp/daigaku/oregon.html
13 非公認大学リスト(ミシガン州政府による) http://www.michigan.gov/documents/Non-accreditedSchools_78090_7.pdf
14 非公認大学リスト Unaccredited Universities http://khon.at.infoseek.co.jp/daigaku/index.html
15 非公認大学ガイド Bear's Guide http://members.at.infoseek.co.jp/gakui_syouhou/bears.htm
16 非公認学位 http://home1.pacific.net.sg/~chrisyeh/degmill1.htm
17 ニセ学位問題(アメリカ政府職員の場合) http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20040527202.html
18 ニセ学位ネット販売(アメリカ) http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20040322206.html
19 博士号詐称 Ph.D. Fraud http://home.san.rr.com/follies/PhDFraud/#offer
20 軽犯罪法第一条第十五項 (学位詐称) http://list.room.ne.jp/~lawtext/1948L039.html)
21 名誉博士 不名誉博士 http://www.jiten.com/dicmi/docs/k34/23161.htm
22 突然の「名誉博士号を授与」 http://web.archive.org/web/20021022005828/chubu.yomiuri.co.jp/syakai2/24_020416.html
23 博士号売ります http://www.jiten.com/dicmi/docs/k26/20904.htm
24 注意しましょう―資格商法 http://www.jpaa.or.jp/care/care3.html
25 特許大学 http://khon.at.infoseek.co.jp/daigaku/tokkyo.html
26 知られざる 【米国大学事情】ほか http://groups.yahoo.co.jp/group/free_soft/links/university_001082961651/
27 しばしば話題に上る“大学・学位”へのリンク http://groups.yahoo.co.jp/group/free_soft/links/university_001082961651
28 汚染される日本の大学−偽学位問題−http://richmondbraves.ameblo.jp/entry-9a73a3b0b289fce442259e94f30d3aeb.html
29
未認定校(学位商法) CATのアメリカ東海岸留学hhttp://plaza.rakuten.co.jp/cat0857/8000 
30 「博士」(はくし、はかせ)について http://f28.aaa.livedoor.jp/~kenpei/syouhi/hakusi.html
31 民間資格の注意点 (「催眠療法の位置づけ」の一部) http://www13.plala.or.jp/socialanimal/reverse/hypnotherapy.htm
32 海外大学・大学院 eラーニングの落とし穴―ブームの陰で通用しない学位も http://khon.at.infoseek.co.jp/daigaku/iond.html
33 「米国大学(院)学位商法」の危険性 (1) 福永法源の博士号 http://www.janjan.jp/world/0507/0507169645/1.php
34 「米国大学(院)学位商法」の危険性(10) 日米当局のそれぞれの取組 http://www.janjan.jp/world/0510/0510113687/1.php
35 ディプロマミル(学位工場)偽学位買取利用確信犯としての大学教授 http://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/~kojima/diplomamillprof.htm
36 学歴汚染(ディプロマミル=学位工場による被害、弊害) http://degreemill.exblog.jp/
37 米国の博士って、な〜に? http://jiten.com/dicmi/docs/w/12686s.htm
38 弁護士山口貴士大いに語る―イオンド大学の学位商法 http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2005/11/post_f089.html
           (続)イオンド大学の学位商法 http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2005/11/post_4a00.html 
39 ディプロマ未ル・ディグリーミル(米国発の学位商法)〜これまでの経緯とこれから
http://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/%7Ekojima/diplomanews.htm
40 学歴詐称者 http://www7a.biglobe.ne.jp/~kikikirinnoki/taxpayers/academism/diploma_mill_aiueo.html
41 米国大学(院)学位商法」の危険性―「蟹瀬誠一博士」の周辺 http://www.news.janjan.jp/world/0801/0801169009/1.php
42 米国大学(院)学位商法」の危険性−「博士(パフォーマンス学)」とは? http://www.news.janjan.jp/world/0801/0712308194/1.php

論文(博論・修論・卒論)・レポート・書評等の書き方(←こちらもご覧ください)

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