2 気になる日本語
    
「5,000円から
        お預かりしまーす!」



  以前から、気になって仕方がない日本語の表現あるいは用法がある。コンビ二、マクドナルド、ガソリンスタンド、書店等々、どこでもよい、要するに、客商売の店ならどこででも聞かれるものである。たとえば、次のような場合である。

 
(用例1)
    (消費税込みで2,380円の品を買う)「これ下さい。はい、5,000円ね。」
   店員 (5,000円札を受け取りながら) 「いらっしゃいませー。毎度ありが
       とうございまーす。5,000円からお預かりしまーす。」
   私   ?!?!?!?!?!?!?!
   店員 「2,620円のお返しでーす。」
  
  【私のボヤキ「5,000から幾らまでなら預かるって言うの?そうじゃ
            なくて、 《5,000円()お預かりします》って言うんでしょ。
            《預かる》っていう日本語は他動詞だから、後に目的語を取
            って、 《5千円()お預かりします》って言うのが正しい言い
            方なんじゃないかな?それと、言葉のお尻を延ばさないで欲
            しいな。子供っぽく響いて仕方がないんだけど。」 

 (正用法)
    (消費税込みで2,380円の品を買う) 「これ下さい。はい、5,000円ね。」 
  店員 (5,000円札を受け取りながら) 「いらっしゃいませ。毎度ありがとうござい
      ます。5,000円)お預かり(致)します。…はい、2,620円のお返しで
      す。ありがとうございました。」
      ◎「から」を使いたければ、「5,000円からいただきます[頂戴します]」と
      する。
  私  「はい、どうもありがとう。」



 (用例2)
    (消費税込みで2,380円の品を買う) 「これ下さい。はい、2,380円ね。」  
  店員 (2,380円ちょうどを受け取りながら)  「いらっしゃいませー。毎度ありがとう
     ございまーす。 2,380円(からお預かりしまーす。」
  私   ?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?! 
 
  【私のボヤキ「変な日本語! だって、2,380円ちょうどを渡したんだから、
            《からお預かりする》って、論理的におかしいでしょう?それに、
            《お預かりしまーす》なんて言われると、《じゃああとで、そのお
            金返してくれるの?》って聞きたくなるんだけどなあ。だって、
            《預かる》っていう日本語は、《まれたものを責任を持って
           保管する;あとで返す
》ってことでしょう?! 《手荷物預かり所》
            《一時預かり》《預かり金》…みんな、あとで返すことを言ってる
            でしょ?」

  (正用法) 
     (消費税込みで2,380円の品を買う) 「これ下さい。はい、2,380円
       ね。」  
   店員 (2,380円ちょうどを受け取りながら)  「いらっしゃいませ。毎度ありが
       とうございます。 2,380円ちょうど()いただきます。」



 言葉は時代と共に変化する。しかし、単なる無神経・無反省に起因する、非論理的な用法の流布はできるだけ食い止めるほうが、日本人全体(老若男女)のために好ましいことである。言葉は人間の心そのものであり、それを映し出す鏡である。間違いだらけのマニュアル日本語を 「正しい」 と誤解し、自己の言葉の意味を深く考えようとしない、言ってみれば “マニュアル人間” あるいは “機械人間” にならないように、我々は注意すべきである。老若男女が、心地よく聞けて、気持ちよく使える言葉、それは人間の心への栄養[滋養]となるものである。「いらっしゃいませ、こんにちは!」 最近、ファミリーレストランなどで、よく聞くようになった挨拶言葉であるが、私はこれにも馴染めない。


横浜ベイサイドマリーナ (ここで食事をして、夕方の海を見るのが好きです)

右手にヨットハーバーが広がります(こちらをご覧下さい
その他のベイサイドマリーナの写真はこちらです@ABCD