夕 日
(Yuuhi)

作詞:葛原しげる 作曲:室崎琴月
英訳:山岸勝榮 (C)


The Setting Sun
Lyrics: KUZUHARA Shigeru  Music: MUROSAKI Kingetsu

English Translation: YAMAGISHI Katsuei (C)


日本音楽著作権協会(JASRAC) 許諾番号 J120918615】


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こちらに童謡歌手・近藤圭子の歌う「夕日」があります。
(右クリックをして新しいウインドウを開いてください。)



1.
ぎんぎんぎらぎら 夕日が沈む
ぎんぎんぎらぎら 日が沈む
まっかっかっか 空の雲
みんなのお顔も まっかっか
ぎんぎんぎらぎら 日が沈む

The blazing sun is beginning to set
The blazing, blazing sun's going down
Red and red are the clouds in the sky
Red and red are the people's faces
The blazing, blazing sun's going down


2.
ぎんぎんぎらぎら 夕日が沈む
ぎんぎんぎらぎら 日が沈む
カラスよ お日を追っかけて
真っ赤に染まって 舞って来い
ぎんぎんぎらぎら 日が沈む

The blazing sun is beginning to set
The blazing, blazing sun's going down
Crows, you follow the blazing sun
Come back dressed in red, fly back home
The blazing, blazing sun
's going down


無断引用禁止
Copyrighted




葛原しげるの詞には著作権はありません。




以下の文章は私のゼミの特修生で大学院博士前期課程1年生の大塚孝一君と、学部3年生の草皆高広君の手になるものです。
興味深い比較ですので、両君の了解を得て、転載します。


特修生の皆さん

山岸教授のThe Setting Sunを拝読し、以下に意見を記します。

《第1連・第2連 1行目2行目》

 原詞の1行目と2行目は「夕」の語があるかないかの違いのみです。しかし、実際には「時間の経過」が読み取れるでしょう。その「時間の経過」は山岸教授の御訳にありますis beginning to setと’s going downという表現によって表されています。1行目はまさに日が沈み始める瞬間を切り取った表現でありますし、2行目は日が地平線に沈んでゆく様を切り取った表現ということが言えます。
 また、その「時間の経過」に伴い、「ぎんぎん ぎらぎら」の“程度”も異なっていることが山岸教授の御訳より分かります。いずれの行も現在分詞が用いられており、夕日がこの瞬間、燃えている様子が容易に感じ取れます。1行目では、blazingは一つですが、2行目ではblazingは二つあり、2行目の方がその程度が上回っていることが分かります。
 また最終行のテンポは行末に行くに従って、遅くなっています。特に「沈む」はそれまでの軽快なリズムとは対照的であり、日没を表現するには相応しい、ゆったりとしたテンポと言えます。少々主観的ではありますが、このテンポと山岸教授が採用なさったdownが実に合っていると感じます。

《第1連 3行目4行目》
 まずこの行において注目すべきは形容詞の倒置があるということです。red and redがいずれの行でも先頭に置かれています。4行目の原詞は「みんなのお顔も まっかっか」ですから、倒置の必要はないように思われますが、「も」に訳語を当てないことによって、「まっかっか」を強調する必要が出てきます。そのため、3行目の御訳同様、red and redを倒置させているということが分かります。
 リズムの面では、the cloudsのsとthe people’s のsが一致しているため、歌っていて非常に気持ちがよく、弾むようなリズムで歌うことができます。

《第1連 3行目4行目》
 山岸教授御訳の3行目にあるyou、4行目にあるdressed in redは英語らしい表現と言えます。前者は命令文の先頭にあるyouですが、この語があることにより、カラスに“安心感”を与えることができます。言い換えれば、このyouはカラスへの優しさを表すと言ってもいいでしょう。命令文におけるyouは命令の対象を明確にし、命令の度合いを強めることもできますが、山岸教授がお使いになったyouのように、命令の対象に安心感を与えることもできます。
 dressed in redは、原詞の「真っ赤に染まって」に当たります。もしこの原詞をdyeなどと訳してしまえば、原詞が伝える光景が正確に表現されず、誤訳になります。英語圏の人々に伝えるということに重きを置いた御訳出ということが言えます。ちなみに、dyeは、山岸教授の「日の丸の旗」の御訳に用いられています。勉強になる表現だと個人的には思います。

平成26[2014]年2月25日
      大塚 孝一



特修生の皆さん
今回の「夕日」においても先生の翻訳技術の妙たるものを学ばせて頂いております。

ぎんぎんぎらぎら 夕日が沈む
ぎんぎんぎらぎら 日が沈む

The blazing sun is beginning to set
The blazing, blazing sun's going down

この箇所ですが私でしたら The blazing sunを
The burning sun にしてしまうと思います。
よくよく調べてみるとblaze は語の概念において炎の「明るさ」に焦点が当てられているのに比べ burn は炎の「熱」に焦点が当てられています。私たち日本人はこのような細かい概念の違いにはあまり注意が廻らないと考えますが外国人は(私の知り合いを見てみても)このような違いにはかなり注意がいってしまうようです。やはりもっともっと言葉を知らなければならないと強く実感しました。

またそれに続く箇所ですが

まっかっかっか 空の雲
みんなのお顔も まっかっか

Red and red are the clouds in the sky
Red and red are the people's faces

大塚さんも言及していらっしゃるようにこの箇所は倒置表現が効果的な働きをしています。よくよく考えてみると「まっかっかっか」をいかに訳すかは大変難しい箇所に思えます。red and red という形で強調し、それを文頭に持ってくる形で倒置で表すことで日本語のニュアンスにそのままぴったりと当てはまる英訳表現になっています。更には
「みんなのお顔も まっかっか」はその前の「まっかっかっか」と比べると少し抑えた表現に見えますがこの部分こそが作者の最も表現したい部分であるのは明らかなためやはりこの箇所も red and red での倒置表現が最も相応しい表現に思えます。

このように先生の英訳を原詞と比較して学ぶことで正しい英訳のプロセスといったものに繋がるように思えます。この有難い学習の場を活かして今後も先生の英訳をしっかりと学ばせて頂きたく思います。

平成26[2014]年3月4日
  草皆 高広