ゆりかごのうた

(Yurikago no Uta)

作詞:北原白秋 作曲:草川信
英訳:山岸勝榮 (C)


A Cradle Song
Lyrics: KITAHARA Hakushu   Music: KUSAKAWA Shin
English Translation: YAMAGISHI Katsuei (C)


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MIDI




1.

ゆりかごのうたを かなりやがうたうよ
ねんねこ ねんねこ ねんねこよ

A lovely canary sings a cradle song
Sleep, baby, sleep, baby, sleep, baby, my dear love




2.
ゆりかごの上に びわの実がゆれるよ
ねんねこ ねんねこ ねんねこよ

Sweet yellow plums sway above the cradle
Sleep, baby, sleep, baby, sleep, baby, my dear love

3.
ゆりかごのつなを 木ねずみがゆするよ
ねんねこ ねんねこ ねんねこよ

A lovely squirrel swings the rope of the cradle
Sleep, baby, sleep, baby, sleep, baby, my dear love




4.
ゆりかごの夢に 黄色い月がかかるよ
ねんねこ ねんねこ ねんねこよ

A yellow moon hangs above the dreamer in the cradle
Sleep, baby, sleep, baby, sleep, baby, my dear love




無断引用禁止
Copyrighted


この歌には著作権はありません。
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カナリアの写真はこちらからお借りしました。





以下の文章は、山岸ゼミ特修生の大塚孝一君(大学院博士前期課程1年生)が、山岸ゼミ専用掲示板
で行ってくれた、私の「ゆりかごのうた」の英訳とほかの人たちのそれとを比較検討してくれたもの
です。同君の了解を得て転載します。


ゼミ生の皆さん

 今回の課題曲「ゆりかごのうた」の英訳をインターネット上で調べましたところ、いくつか見つかりました。そこで、山岸教授の御訳を中心としまして、他に翻訳三作品を扱い、教授の御訳とどう異なっているのかを明らかにしてまいります。比較対象の英訳の翻訳者と訳引用のサイトは以下の通りです。
 Greg Irwin氏:http://www.edu.dhc.co.jp/fun_study/kotonoha/kotonoha_008/
 Jay Bird氏:http://jb1rd.blogspot.jp/2012/12/yurikagonouta-natukawarimi.html
 utadafreak22氏:http://www.jpopasia.com/lyrics/42383/videos/
 また、いつものように、Yahooボックスの「共有」にPDFファイルを用意しました。ファイル名は「訳比較15 ゆりかごのうた」です(下にpdfを転載する)。

【びわの訳語】PDF資料 

 山岸教授は、「びわ」が英語圏では一般的ではないという事実を踏まえ、色や大きさ、存在意義、イメージの点において、「びわ」に等価的な訳語、具体的にはSweet yellow plumsを充てていらっしゃいます。Greg Irwin氏はいつもの通り、原詞に忠実ではないSoft, gentle breeze blowing byという訳出をしています。おそらく、びわが一般的ではないことを踏まえての訳出でしょうが、原詞に表されていないことが訳出されており、独特の訳と言えます。Jay Bird氏の訳とutadafreak22氏のそれは、ともにloquatが用いられています。原詞に忠実ではありますが、その単語が英語圏の人々に与える印象は「?」という疑問符ではないでしょうか。utadafreak22氏の訳語はLoquat fruitと無冠詞になっているところも興味深い点ではあります。

【「ゆりかごのつなを 木ねずみがゆするよ」の訳出】PDF資料

 「ゆする」という語の訳語をどうするか、ゼミ生が一番悩んだところではないでしょうか。ゼミ生の訳には様々な訳出がありましたが、結果としてこの文脈ではswingが最もふさわしいということを学ぶことができました。山岸教授の御訳にも当然swingが用いられています。Irwin氏の訳出は先ほどの「びわ」の訳語同様、氏独特の解釈が反映されていると言えます。また、なぜリスがやさしくため息をするのか、私には到底分かりません。しかも、そのリスは森にいるようです。原詞とかけ離れた訳出といえるでしょう。Bird氏の訳はA squirrel tugs the rope and rocks the cradleとなっています。原詞は揺らす対象が「つな」であるのに対して、氏の訳はそれが「ゆりかご」になっています。もちろん、「つな」を「ゆすれ」ば「ゆりかご」も揺れますが、若干説明的な訳出になっていると言えます。そして、utadafreak22氏の訳出はA squirrel is swinging, / On the rope of the cradle,となっています。これは言いにくいことですが、誤訳と言わざるを得ません。リス(A suirrel)が揺れている(is swing)、ゆりかごのロープの上で(On the rope of the cradle)というようにしか解釈できないためです。

【「ゆりかごの夢に 黄色い月がかかるよ」の訳出】PDF資料 
 こちらの訳出も、わたくしを含めたゼミ生全員が苦労した訳出箇所と言えます。山岸教授は「ゆりかごの夢に」をabove the dreamer in the cradleとお訳しになっています。ゼミ生が誰もaboveが選べなかったことは、原詞の読み込みの甘さが反映されています。そしてdreamerの訳出ができなかったことは、ゼミ生の英語の表現力の乏しさと言えるでしょう。大いに勉強すべき箇所だと個人的には思っています。他のお三方の訳出はどうでしょうか。Irwin氏はCradle my baby sound asleep / You shine like the moon up in the skyと訳しています。誤訳というよりも超訳というべきでしょうか。原詞やニュアンスが無視されていると言ってもいいでしょう。Bird氏の訳出、In the cradle dream a yellow moon crosses the skyについては、言いにくいことではありますが、誤訳でしょう。黄色い月がかかる場所が原詞とは異なっています。utadafreak22氏の訳語The yellow moon reaches to, / The dreaming baby in the cradle,となっていますが、原詞にほぼ忠実だということが言えます。ただ、若干冗長なところが気になります。

【「ねんねこ ねんねこ ねんねこよ」の訳出】PDF資料 

 山岸教授は、ゼミ授業中に「ゼミ生が一人もloveを使わなかったのが残念」とおっしゃっていましたが、私も含めて「英語が分かっていない」ということでしょう。loveというキリスト教では極めて重要な英単語一つ満足に使えないことは、反省すべき点です。

【考察】
 毎回思うことですが、翻訳は、とにかく原詞を深く理解し、することからすべてが始まります。例えば、今回の課題曲では、第4連にある「ゆりかごの夢に」という原詞を正しく理解出来たか否か。ゼミ掲示板で日本語の解釈により時間を費やすべきであると感じます。その次に大切な事は、英語の表現力です。今回の例で言えば、第4連で教授がお訳しになったdreamerや、各連の2行目のloveです。英語圏の人々のこころに訴える語を選択することができるようになるには、遠い道程。来年もぜひ特修生として、山岸ゼミに参加をさせていただき、語感を磨く努力を重ねたいと思っています。

 平成25[2013]年10月8日
     大塚 孝一

「ゆりかごのうた」pdf