うさぎのダンス The Rabbit Dance Lyrics: NOGUCHI, Ujo Music: NAKAYAMA, Shinpei English Translation: YAMAGISHI, Katsuei © |
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この歌には著作権はありません。 |
以下の文章は私のゼミの特修生で大学院博士前期課程1年生の大塚孝一君の手になるものです。 興味深い比較ですので、同君の了解を得て、転載します。 |
ゼミ生の皆さん 先ほどの「肩たたき」と同じように、もし私が英語教員であったらということで、山岸教授がお訳しになった「うさぎのダンス」を分析します。「肩たたき」の時と同じように常体で失礼します。 @「うさぎのダンス」とrabbit dancing:「ダンス」という日本語からdanceがその訳語として思い浮かぶのは当然である。しかし、山岸教授がdancingとお訳しになった意図として、「動き」を感じさせるためということが感じ取れる。また、全体を通してみると、ingが多用され、擬音語(擬態語?)と共に用いられることによって、うさぎがぴょんぴょん跳ねて踊っている姿が容易に想像できる。 A「あしで 蹴り 蹴り」とPushing off from the earth:push、off、fromとそれぞれが地面から離れることを意味する。よって、軽快なうさぎのダンスが読み取れる。通常、中学生や高校生は、pushを「押す」と覚えているであろうが、この「押す」とpushにはズレが見られる。英英辞典を引かせるとその違いに気がつくであろう。OALDには、【USING HANDS/ARMS/BODY】とあり、to use your hands, arms, or body in order to make sb/sth move forward or away from you; to move part of your body into a particular positionとある。「押す」は普通「手」で行うことだが、身体の一部であれば、pushを用いることができるということを学べる。 B「耳にはちまき」とWearing a ribbon around her long ear:これは英語の問題というよりも詩の問題ということになるが、「はちまき」をribbonとお訳しになっている山岸教授の御意図を考えることで有益な議論ができるであろう。場合によっては、山岸教授の他の御訳(例えば「ゆりかごの歌」の「びわの実が揺れるよ」とその御訳)を提示し、なぜこのような訳出になるのかを議論しても興味深いはずである。また、ribbonとあることからherとすることの必然性が生まれる。根本的なこととして、動物に“性”を持たせ、代名詞で表すことも可能だということを教えれば、代名詞をはじめて勉強する中学1年生は、有益なものとして理解してくれるであろう。 C「とんで 跳ね 跳ね」とJumping up and down:この「とんで」をさすがにfly(ing)と訳す中学生、高校生はいないであろう。おそらくjump(ing)と訳すはずだ。もし両語の違いが分からなければ、英和辞典、和英辞典、英英辞典を引かせる。いずれの辞書を用いてもその疑問は解決するはずだ。up and downとすることで、やはり動きを感じることができるし、何より詩として成立する。これをJumping, jumping and jumpingとしてもおもしろくも何ともない。 D「あしに赤靴」とWith his red pair of shoes on:高校生にはいわゆるwithの付帯状況を教えることができる。中学生にとって、それは少々難しいだろう。よって文法的な説明は省略し、いわゆる“チャンク”として認識させても悪くは無い。パターンプラクティスとしては、shoesをhatにしたり、glovesにしたりすることもできるし、onの代わりにoffを用いることもできよう。中学生には「靴の片一方」でshoe、両方揃ってshoesなどという複数形の話しも有効だろう。そこから派生し、ズボンやはさみ、メガネなどの英訳に言及することもできる。 詩の解釈としては山岸教授がhisをお使いになっていることから、うさぎの“男女”が踊っていると読み取られていることがわかる。 以上です。このような授業(私の質問で成り立つ授業という意味ではなく、生きた英語を用いた授業という意味)が増えると、英語嫌いの生徒が持っている“大きな壁”が徐々に“崩せる”と思います。加えて、題材が身近であることも英語嫌いの減少に役立つはずです。もちろん、そのためには、英語教員の日ごろの勉強が不可欠です。 平成26[2014]年 1月24日 大塚 孝一 |