すずめの学校
(Suzumé-no-Gakkõ)
作詞:清水かつら 作曲:弘田龍太郎
英訳:山岸勝榮©

The Sparrow Primary School
Lyrics: SHIMIZU, Katsura  Music: HIROTA, Ryutaro
English Translation: YAMAGISHI, Katsuei©


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こちらにmp3の音源がある。
何と、かのシャーリー・テンプル(Shirley Temple; 1928 - 2014) がすずめの学校を歌っている(01:15 あたりから)。
(幼い頃のシャーリー;こちら

チイチイパッパ チイパッパ
すずめの学校の 先生は
むちを振
()り振り チイパッパ
生徒のすずめは 輪
()になって
お口をそろえて チイパッパ
まだまだいけない チイパッパ
も一度
(いちど)一緒(いっしょ)に チイパッパ
チイチイパッパ チイパッパ

Tweet-tweet, chirp-chirp, tweet-chirp-chirp
The teacher at the Sparrow Primary School
Is cracking a whip quickly, tweet-chirp-chirp
The student sparrows sitting in a ring
Started all at once, tweet-chirp-chirp 
Not yet are you good, tweet-chirp-chirp      
One more time all together, tweet-chirp-chirp
Tweet-tweet, chirp-chirp, tweet-chirp-chirp


無断引用・使用厳禁
Copyrighted©

この歌に著作権はありません。
イラストはこちらからお借りしました。



以下の文章は私のゼミの特修生で大学院博士前期課程1年生の大塚孝一君の手になるものです。
興味深い比較ですので、同君の了解を得て、転載します。


ゼミ生の皆さん

山岸教授の御訳The Sparrow Primary Schoolを拝読して、感じたことを書きます。

《「チイチイパッパ」》
 原詞にある雀の鳴き声「チイチイ」「パッパ」には、それぞれtweet-tweet、chirp-chirpという訳語が当てられています。「チイチイ」は「チ(chi/ti)」の音からの連想でtweetが用いられたと考えられます。「パッパ」は「パ(pa)」の音の連想からchirpが使われたと考えられます。原詞の音を最大限活かした御訳ということが言えます。ちなみに、私も同様の訳出ができました。しかし、ハイフンが付けられなかった点は致命的な誤りだということが言えます。私はTweet, tweet, chirp, chirp, tweet, chirp, chirp,と訳しましたが、これではどこからどこまでが一つの“かたまり”であるかが不明瞭です。

《「雀の学校」》
 山岸教授は「雀の学校」をthe Sparrow Primary Schoolとお訳しになっています。Primaryが選ばれた理由として考えられることは、@Primaryがなくてもリズムに乗せて歌うことは可能だが、原詞が持つテンポ感が失われる、A「雀の生徒」がこの歌の“主人公”になっているため、「中学校」や「高校」などでは、“大きすぎて”相応しくない、B原詞「雀の学校の先生は」の「せんせい」に見られる「せ」の音が繰り返し用いられていることに対応する音としてpが繰り返し用いられている(Sparrow Primary)、以上の三点が挙げられます。

《テンポの速さと語数[音節数]》
 この度の「雀の学校」、以前課題曲として扱った「汽車」、その他「源兵衛さんの赤ちゃん」などは、テンポが速い曲だと個人的に思います。そのような曲を山岸教授がお訳しになるさいは、多くの場合、語数(音節数と言ってもいいでしょう)が、わたしが訳したものよりも多いということが言えます。例えば、「雀の学校」の「お口をそろえて」では、山岸教授はStarted all at onceとお訳しになりました。私はCrying togetherとしか訳せませんでした。私の訳は意味もリズムもズレています。
 山岸教授の御訳では、その語数[音節数]の多さから、リズムに合った、弾むような御訳が生まれるのです。闇雲に語数を増やすということではなく、あくまでも歌のリズムを尊重しつつ、訳出を心がけるべきであるということが言えます。

《全体を通して》
 「チイチイパッパ」という擬音語が持つ語感と、その語の繰り返しから生まれるリズム感とが織りなす独特の雰囲気を英語で的確に表現なさるために、山岸教授は音に凝った訳出をなさっていることが分かります。上述の三点以外には、例えば、「むちを振り振り」という原詞に対して、山岸教授はIs cracking a whip quicklyとお訳しになっています。例えば、「振る」をswingなどとしては、原詞の意味はおろか、リズムにも合わず、英訳としてまったく“おもしろくない”ことが分かります。何より、crackという擬音語、そして、crackの[k]とquicklyの[k]が産み出すリズム感は無視できない点です。
 今回私が感じた上記四点は、今後の私たちの訳出に活かすべき点であります。

平成26[2014]年
 1月31日
   大塚 孝一