お星さま

(Ohoshi-sama)
作詞:石原和三郎 作曲:楠美恩三郎
英訳:山岸勝榮
©

The Stars
Lyrics: ISHIHARA, Wasaburo  Music: KUSUMI, Onzaburo
English Translation: YAMAGISHI, Katsuei ©



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こちらでYouTube版の「お星さま」を聴けます(01:35あたりから)
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1.
お日さま西に かくれて

(よい)の明星(みょうじょう) 顔出すと
あっちの方でも ぴかり
こっちの方でも ぴかり
出てくる出てくる 星の数

The good old sun set in the west
And Vesper, the evening star came out
Far over there twinkles a star and
Far over here twinkles another star
Stars come out and increase in number



2.
金の砂子
(すなご)を 蒔(ま)くように
銀の砂子を 蒔くように
あっちの方でも きらきら
こっちの方でも きらきら
輝く輝く 星の数

Just like sprinkling gold sand
Just like sprinkling silver sand
Far over there twinkles a star and
Far over here twinkles another star
Glittering stars increase in number



3.

夜明けに近く なって来て

東の方が 白
(しら)むと
あっちの星も 消えて
こっちの星も 消えて
明の明星 ただ独り

When daybreak is near, before it is morning
And when you see the first gray of dawn
Far over there disappears a star and
Far over here disappears another star
There's only Venus, the morning star



4.
1番を繰り返す。




無断引用・使用厳禁 
Copyrighted
©


この歌には著作権はありません。
背景画像はこちらからお借りしました。



以下の文章は大学院修士課程2年生の大塚孝一君の手になるものです。
興味深い意見ですので、同君の了解を得て転載します。



山岸勝榮教授

 この度の御訳The Starsを拝読いたしました。今回は「英語らしさ」という観点で分析をしました。ご一読ください。

《英語らしさ》
 この度の山岸教授の御訳において、「英語らしさ」が表れている箇所を挙げ、論じます。
 まずは、各連3、4行目にある、a starとanother starです。a starとanother starは、「遠い空で光る星が一つ、そして近めの空で光る星が別に一つ」という情景を表しています。oneとanotherを用いるには、まず同種同類のものが複数存在していることを認識する必要があります。その中の一つに目を向けることでoneが使用可能になります。今度は別の一つに目を向けることでanotherが導き出されます。英和辞典では、「別の」や「もう一つ」などがanotherの訳語に当てられています。そのような語は原詞には表れていませんが、空に無数にある星の存在を認め、そこから「あっちの方でも ぴかり」という原詞が表すoneと、それとは別に「こっちの方でも ぴかり」というanother starがあることを認識することにより、a starとanother starの訳出が可能になるということです。ちなみに、詳しく調べたわけではありませんが、one, another, other, the other, the othersなどの語法は、入学試験や学校のテストでは頻出だと思います。それほど、日本人が認識する世界と英語圏の人々が認識する世界が違うという証左なのかもしれません。
 次に、第3連の「東の方が 白むと」に対する英語として、山岸教授はAnd when you see the first gray of dawnとお訳しになっていますが、このthe first gray of dawnは前にあるbefore it is morningが表現する情景からの“流れ”を“受け止める”描写だと思います。特にfirstが持つ英語らしさは、英語学習者としてぜひ覚えておくべきことです。日本語では、「夜明け前の情景」を、「東の方が 白む」の他に、「白々と夜が明ける」などと言います。日の出の直前のあの色を「白」で表現することが分かります。それに対して、英語ではあの光景を、grayを用います。太陽が顔を出す前の光のごく一部をfirstという形容詞を用いることでgrayがより具体性を増します。
 そして、リズムの面で注目すべき箇所は、第2連のsprinklingとtwinklingに見られるklingの重複です。原詞は特に音の面で特徴は見当たりませんが、山岸教授御訳では、同箇所でklingが登場し、それによりリズム感が生まれ、英語らしい詩になっていると言えるでしょう。また、各連4行目と5行目の末にあるrの音の重複も、英語らしさを産み出している御訳出と言えます。

平成26[2014]年4月2日

          大塚 孝一