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汽車ぽっぽ
(Kisha Poppo)
作詞・作曲:本居長世
英訳:山岸勝榮©

The Choo-Choo Train
Lyrics and Music: MOTOORI, Nagayo
English Translation: YAMAGISHI, Katsuei ©




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お山の中行(ゆ)く 汽車ぽっぽ
ぽっぽぽっぽ 黒い煙
(けむ)を出し
しゅしゅしゅしゅ 白い湯気
(ゆげ)ふいて
機関車と機関車が 前引き 後
(あと)押し
なんだ坂 こんな坂
なんだ坂 こんな坂
トンネル 鉄橋 ぽっぽぽっぽ
トンネル 鉄橋 しゅしゅしゅしゅ
トンネル 鉄橋 トンネル鉄橋
トンネル トンネル
トントントンと のぼり行く

The choo-choo train, moving through the mountains
Chuf-chuf, chuf-chuf, puffing black smoke
Chug-chug, chug-chug, giving off white steam
The locomotive pulling, the booster pushing from behind
This slope's nothing, this slope's no problem
This slope's nothing, this slope's no problem
The tunnel, the railway bridge, chuf-chuf, chuf-chuf
The tunnel, the railway bridge, chug-chug, chug-chug
The tunnel, the railway bridge, the tunnel, the railway bridge
The tunnel, the tunnel
Tun-tun-tun-tun, the train climbs up



無断引用・使用厳禁 
Copyrighted
©




  


以下の文章は大学院博士前期課程2年生の大塚孝一君の手になるものです。
興味深い文章ですので、当人の了解を得て転載します。



山岸勝榮教授

山岸教授の御訳The Choo-Choo Trainを拝読いたしました。以下に感想を書かせていただきます。

 山岸教授がブログにお書きになっているように、御訳は、まさに早口言葉であるという印象を受けました。音の面では、例えば、1行目のchoo-chooやmoving、through、mountainsに見られる/u/、2行目にありますpuffingやblackの両唇破裂音の連続は歌っていてリズム感を感じます。chuf-chufのch、chug-chugのchも同様の印象を抱きます。
 1行目から4行目までの文法面では、文(主語と動詞を含むもの)をお使いにならず、-ingをお使いになっています。臨場感や、走っている躍動感を感じさせるような御訳であります。同箇所に文を用いて訳してしまうと、“きっちり”しすぎてしまい、原詞とのズレを感じてしまいます。
 原詞と御訳の顕著な違いは4行目の構造でしょう。原詞からは、前の「機関車」が「前引き」に、後ろの「機関車」が「後押し」に、それぞれ結びついていることは容易に分かります。この箇所を山岸教授は、原詞通りの語順にはなさらず、あくまでも英語のルールに則った表現を採用なさっています。わたくしも山岸教授のようにThe locomotive pulling, …という語順にすることができましたが、目的語を入れてしまい、リズムに乗せにくい訳になりました。
 実は妻が偶然「チャギントン」という子供用のアニメを見つけ、それ以来、息子に見せています。「チャギントン」(Chuggington)はイギリスで製作されているCGアニメで、列車を擬人化し、列車たちの日常に起こることを描いたものです。テレビ放送では副音声で英語も聞けるため、時々息子とともに、英語放送を聞いております。そこに出てくる英単語は、山岸教授がお使いになった語と重複するものが結構あります。choo-choo、train、chugをはじめとして、puff、give off、boosterなども登場したことがあります。同アニメは結構人気があるらしく、オモチャなども発売されています。チャギントンに興味がある親には、ぜひ「汽車ぽっぽ」の原詞と山岸教授の御訳を聞いて、可能であれば、歌って欲しいところです。そういう親でも、いくつか気がつくことがあるでしょう。例えば、原詞からでは、当時と現代の電車の違いです。ちなみに、山岸教授もご存じだとは思いますが、機関車が実際に走っていたころは、黒煙で、外に干していた洗濯物がよごれてしまうことがあったそうです。そのため、汽笛が聞こえると、急いで洗濯物をしまっていたなどということを祖母から聞いたことがあります。また「なんだ坂 こんな坂」の箇所のみ、客観的描写ではなく、列車の“気持ち”になっているところは非常に興味深いところです。また山岸教授の御訳からは、上述の音の面での面白さも感じることができるでしょうし、早口言葉としても楽しめるはずです。さほど難しい単語も使われていませんから、日本語と英語を比較しても純粋に楽しめると思います。

平成26[2014]年4月7日
  大塚 孝一