この歌に著作権はありません。
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以下の文章は私のゼミの特修生で大学院博士前期課程1年生の大塚孝一君の手になるものです。 興味深い比較ですので、同君の了解を得て、転載します。 |
特修生の皆さん 山岸教授がお訳しになりましたThe Dogを拝見し、以下に学んだことを記します。 《wheneverが持つ“愛情”》 山岸教授は「外へ出る時」を、Whenever I go outとお訳しになっています。日本人英語学習者は「〜(の)時」という日本語を見ると、自動的にwhenとしがちですが、この歌詞の英訳でwhenとしてしまうと、「一度きり」というようなニュアンスに取られる可能性も出てきます。もちろん、動作の頻度は基本的には動詞が決定します。go outと現在形で書くことで、習慣的動作を表すこともできますが、wheneverがあることにより、この犬が飼い主に対して真の愛情を抱いている点がより伝わります。このように、適切な時制を用いることで、原詞の持つニュアンスを最大限表すことができます。このことは、以前意見を書きました「ゆびのうた」におけるalwaysにも当てはまることだと思います。「ゆびのうた」の意見では、alwaysやwheneverを「時制の適切性を表す英訳」と位置づけましたが、別の角度からも分析ができるようにも思えますので、この点は今後の課題としておきます。 《try toが持つ“愛情”》 山岸教授の御訳、第1連2行目にはno matter how hard I try to drive him awayという箇所があります。このtry toは文字としては原詞に表れていません。しかし、この訳語があることにより、“視点”である飼い主の飼い犬に対する愛情が表れていると私は感じます。単にI drive him awayですと英語では直接的過ぎるように思われます。そこで、try toを述語動詞にすることにより、driveの動作を“吸収”することができ、愛情無く飼い犬を追い払っている光景が浮かばないような配慮がなされていると個人的には思っています。 おそらく山岸教授はこの飼い主を女性と設定なさっていると私は予想しています。女性だからtry toが用いられているというわけではありませんが、このtry toにはdrive him awayを和らげる効果があるように感じます。そして、最終行ではreallyなどという陳腐な副詞ではなく、感嘆文が用いられています。なおかつ女性が好んで使うadorableが用いられているという点からも、飼い主が女性であるという推測が働きます。 平成26[2014]年 2月23日 大塚 孝一 |