雲雀
(ひばり)

Hibari

作詞・作曲者:不詳
英訳:山岸勝榮 (C)

A Skylark
Lyrics:Unknown
Music:Unknown
English Translation: YAMAGISHI Katsuei (C)



無断引用禁止

英訳を引用する場合は必ず英訳者の氏名を明記してください。
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MIDI



1.
ピィピィピィと さえずる雲雀
さえずりながら どこまであがる
高い高い 雲の上か
声は聞こえて 見えない雲雀


Trilling, trilling, overhead, is a lovely skylark
How high into the blue sky does he fly, singing?
Beyond the high, high clouds up there?
Audible is the skylark’s singing, but invisible is the bird himself


2.
ピィピィピィと さえずる雲雀

さえずりやんで どこらへ落ちた
青い青い 麦の中か
姿かくれて 見えない雲雀

Trilling, trilling, overhead, is a lovely skylark
Whereabouts did he land, singing his song?
Onto the green, green wheat fields?
Invisible is the skylark hidden somewhere in the fields



無断引用禁止
Copyrighted



この詞・曲には著作権はありません。
MIDIはこちらから、雲雀のイラストはこちらから
それぞれお借りしました。




以下の文章は私のゼミを受講する諸君の手になるものです。
興味深い比較ですので、諸君の了解を得て、転載します。



ゼミ生の皆さん

 山岸教授の「雲雀」の御訳を拝読し、私たちが“真似ぶ”べき点を記します。

《倒置》
 連を問わず、原詞の1行目と4行目は「雲雀」が行末にあり、その前に「雲雀」に掛かる形で連体修飾句があります。山岸教授はこの行を、倒置法を用いて訳されています。解釈はさほど難しくはないのですが、念のため元の語順を示しておきます。

 ぴいぴいぴいとさへづる雲雀
  倒置後:Trilling, trilling, overhead, is a lovely skylark
  倒置前:A lovely skylark is trilling, trilling, overhead.
 声は聞えて見えない雲雀
  倒置後:Audible is the skylark’s singing, but invisible is the bird himself
  倒置前:The skylark’s singing is audible, but the bird himself is invisible.
 姿かくれて見えない雲雀
  倒置後:Invisible is the skylark hidden somewhere in the fields
  倒置前:The skylark hidden somewhere in the fields is invisible.

 なぜ山岸教授が倒置法をお使いになったかといえば、もちろん、原詞の語順と揃えるためです。上記の様に比べると一目瞭然でしょう。


《行をまたぐつながり》

 原詞の第2連2行目にある「落ちた」に対して、山岸教授はlandをお使いになっています。このlandとのつながりを、3行目において、ontoで表されていることが分かります。私たちはつい行を単独で見てしまい、行と行のつながりをあまり意識できないことが多いと私は感じています。もちろん、行を単独で訳すこともありますが、いつもそうだとは限りません。しっかり原詞を分析することが必要です。
 このような技法を山岸教授は時折お使いになっているように感じます。実は現在「四季の歌」の御訳の分析をしている最中ですが、上述したようなつながりが「四季の歌」の御訳にも見て取れます。
ちなみに、第1連の2〜3行目のつながりですが、こちらはflyに対するbeyondとなっています。この御訳出は2〜3行目のつながりというよりは、むしろ「高い高い」「上」という原詞からaboveよりもbeyondをお使いになったと考えられます。後者の方がより原詞に近いと個人的には感じます。

《考察》
 今回の分析では「倒置」と「行と行のつながり」を観察しました。いずれも高度な技法です。1年後にはこのような技法まで身に付けることが理想ですし、それを目指すべきですが、まずは、原詞の理解と単語の選択に重点を置くことが必要です。単語を選択する際には、皆さんが英和辞典、和英辞典、類義語辞典、インターネットなど、ありとあらゆるものを使って調べているはずです。このような作業を繰り返すと、一冊の類義語“辞典”が作れそうな気がします。それだけのことを山岸ゼミでは行っています。春休みは丁寧に山岸教授の御訳を分析し、適切な語句を選べるような礎を作っていきましょう。

平成26[2014]年
  1月14日
   大塚 孝一


ゼミ生の皆さん

 山岸先生の御訳から学んだこと、「真似ぶ」べき箇所を以下に掲載します。また、気になった箇所があります。皆さんの意見を伺えれば幸いです。

【原詩にはないが必要不可欠な表現】
Overhead:この箇所において、雲雀は「どこ」でさえずりをしているのかが解ります。私の推測ですが、もしこの表現がなければ、雲雀がどこにいるのかが解りません。また、例えばこの箇所をsomewhereとすると、「どこまであがる」の箇所と矛盾が生じると思います。Overheadの表現が無ければ、雲雀が「さえずる」ことはわかっても、英語圏の人から見れば、おそらく「どこで」と疑問を抱くのではないでしょうか。

Lovely:ただ「雲雀」を訳出するのみであれば、”skylark”で足りるとは思いますが、それではただ字面だけの訳出となってしまいます。この箇所において山岸先生がlovelyを訳出なされたのは、リズムとの関係もあるかと思いますが、何よりも原詩の背景、歌の雰囲気などから、詩を詩たらしめるに用いられたと思います。

こうした補足的であり、なおかつ詩において重要な表現は、わたしたちが今後英訳に取り組む際に、大切な1つの事柄に思います。是非こうした表現を「真似」しましょう。

 また、山岸先生の御訳を拝見しまして、以下の点が気になりました。わたしの小考察も有りますが、皆さんの意見を伺えれば幸いです。

「ピィピィピィ」:擬音語
鳥の鳴き声が含まれる詩ですと、良く擬音語が含まれます。「鳩」の山岸先生の御訳では、
「ぽっぽっぽ」:“coo, coo, coo”
と訳出なされています。こちらでは、
「ピィピィピィ」:“trilling, trilling”
となっています。
大塚さんの考察にありますように、倒置法で表現がなされています。擬音語はあると思いますが、倒置により「雲雀」を強調するため、”trilling”でさえずるその音や声が、擬音語が含まれているからでしょうか。

  1月19日
    佐々木 健史



ゼミ生の皆さん

大変遅くなりましたが、今回の御訳において特に注目すべきと感じた点について以下に掲載します。

【補足表現】
ピィピィピィと(trilling, trilling,) overhead
このoverheadには、やはり情景描写の意味があると思います。2行目の「どこまであがる」とあることから、上昇途中の雲雀であることがわかります。1行目と2行目の間は、「さえずる さえずりながら」と繋がりを見せていることからも時間の差は大きくないと考えることが自然であると思います。この原詩にある繋がりを表す効果も、overheadには含まれているのではないでしょうか。

雲雀 lovely (skylark)
単にskylarkとするのではなく、lovelyがついた形となっています。これは前回の御訳と同じく、ただ一語だけで表現するのではなく、形容する言葉などをつけることによって情景を明確に表現する効果があると思います。

どこまであがる(how high) into the blue sky
こちらも情景描写の意味でお訳しになったのだと思います。lovelyやoverheadのような1語ではなく長めの、前置詞句で表現されています。1,2行目の長さだけを見てもそろっていることからわかるように、リズムを補う役割をも果たしているのだと思います。

さえずり(singing) his song
his songが1行目のtrillingを指し、1,2行目に関連性をもたらしていると思います。また、こちらもリズムを補う役割をもっていると思います。

【その他】
1番4行目の「聞こえて」と「見えない」とあることからわかるように、「声は聞こえて」と「見えない雲雀」が対照的な形になっています。山岸先生の御訳でもAudible isとinvisible isという同じく対照的な表現で訳されています。また「声」についても、恐らくthe bird himselfとの対称として、the songなどではなく、the skylark's singingとお訳しになったのではないかと思います。このことからもbut前後で対比した形になっていることがわかります。
私にはまだ英語らしさなどの感覚はつかめませんが、こういった表現は美しいと感じます。Audible isとinvisible isと訳すには語彙もさることながら「見えない雲雀」という字面に引っ張られない読み込みが必要になります。1番と2番は「見えない雲雀」でそろっていますが、「声は聞こえて」と「姿かくれて」は前者が「見えない雲雀」に対照的に、逆接として繋がっているのに対し、後者は似た表現で、順接として繋がっていることがわかります。
加えて言えば2番においても1番に見られた―ble is the skylarkの形で原詩の1、2番両方にある「見えない雲雀」をお訳しになっています。これらについては大塚さんのご考察なさった「型」の見方でみるとわかりやすいのではないかと思います。

少しでも先生の御訳に近づけるよう、原詩をよく理解するとともにこういった表現方法を身につけられるよう努めてゆく必要があると思います。

 1月19日
  高浦 李沙



ゼミ生の皆さん
 先生の英訳詩の特徴は日本語の原詩と同様にシンプルな単語で、ある意味非常に高度な表現をなされていて、かつわかりやすいという所にあるのではと思います。
例を挙げると

Trilling, trilling, overhead, is a lovely skylark

という文は一見して倒置の形であることはわかりますが、このような形で表現していることで歩いている作者がふと鳥のさえずりを聞き、さらにまた聞こえたため、なんだろうかと頭上を見るとそこにはあの自分の大好きな雲雀がいたという情景が自然と見えてきます。倒置というよりも作者の情感の移り変わりをそのままの順序で示しているようにさえ思えます。高浦さんや佐々木君が示すようなtrillingという言葉の持つ音としての面白さやlovely を用いることで雲雀に対する作者の気持ちが読み手に伝わりそれが正確な情景理解つまりわかり易さに繋がっていると思いますが日本語には書いていない語を付け加えることでより正確なデュプリケーションに繋がることを私達も学ばなければなりません。
 もう一つ例をあげます。

Beyond the high, high clouds up there?

 この文は前文のどこまで上がっていくのかを受けて、それが遥か雲の上までという部分を表現している訳ですがここで私が着目するのは詩というものは非常に映像的な表現で文字を通して自然と映像が見えてくるほど優れた詩に私には思えます。そういった意味では上記のBeyond the high, high up there という表現はbeyond という前置詞、2回繰り返される 形容詞、そしてup という副詞を通して雲雀が雲の上をどんどん飛翔していく姿が読み手には本当に良く見えそしてthereという副詞でついには空の高みまでという到達点が示されます。

 また二つの文ともに英語のリズムに忠実であり、これは沢山の文に触れないと表現できないものに感じられます。

 こういった要素を全て含みなおかつ簡潔な表現で表すのは到底私達のレベルではありません。ですがそのレベルの作品と深く関わることこそこういったレベルに近づく唯一の方法に思えます。

1月19日
  草皆 高広