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あ し た
(Ashita)
作詞:清水かつら 作曲:弘田龍太郎
英訳:山岸勝榮
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Tomorrow
Lyrics: SHIMIZU, Katsura  Music: HIROTA, Ryutaro
English Translation: YAMAGISHI, Katsuei
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1.
お母さま
泣かずに ねんねいたしましょ
赤いお船で 父さまの
帰るあしたを たのしみに

My dear sweet mom
I won't cry and I'll go to bed
In the red ship my dear sweet dad
Will return tomorrow; I can't wait for the time


2.
お母さま

泣かずに ねんねいたしましょ
あしたの朝は 浜に出て
帰るお船を 待ちましょう

My dear sweet mom
I won't cry and I'll go to bed
Tomorrow morning I'll go to the beach
And wait there for Dad's returning ship


3.
お母さま
泣かずに ねんねいたしましょ
赤いお船の おみやげは
あの父さまの 笑い顔

My dear sweet mom
I won't cry and I'll go to bed
The red ship will bring me a special souvenir
My dear sweet dad's smiling face



無断引用・使用厳禁
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以下の文章は私のゼミの特修生で大学院博士前期課程1年生の大塚孝一君の手になるものです。
興味深い比較ですので、同君の了解を得て、転載します。

ゼミ生の皆さん

 山岸教授の御訳Tomorrowを拝読し、一番学ぶべき点はやはり語順です。例えば、「泣かずに ねんねいたしましょ」を皆さんは、sleep、cryという順番で訳出をしています(高浦さんは教授と同じようにcry, sleepの順ですが、原詞の理解を誤っている点が気になります)。しかし、教授はあくまでも原詞に忠実な語順でお訳しになっています。
 さらに、続く歌詞「赤いお船で 父さまの / 帰るあしたを たのしみに」では以下の様な訳出をなさっています。
 
 赤いお船で 父さまの    In the red ship my dear sweet dad
 帰るあしたを たのしみに  Will return tomorrow; I can't wait for the time

 教授の御訳における語順の忠実度に気がついたのはだいぶ前です。それから、私も語順には注意を払っていますが、この「帰る明日」をどのように訳すかということを悩んでいました。原詞では、「あした」を修飾する連体修飾句になっています。この原詞に対して、教授は連体修飾句はお使いにならずに、単純明快なSVMでお訳しになっています。そして、セミコロンが後続をつなぎ、子の“待ちきれない”という想いをcan't waitで表されています。私はlooking forward toを用いましたが、これでは、子の想いを表すには弱いということが分かります。

 高浦さんと議論をしていた、「泣かずに ねんねいたしましょ」の解釈は、「子が泣かずに寝る」という意味であったことが分かります。また、2番の「待ちましょう」は母子ではなく、子のみということが教授の御訳から分かります。以上の点は、英語の問題というよりも、日本語の問題、すなわち、日本語が正しく理解できなかったための誤訳ということが言えます。

 今後の課題として、語順があります。そして、原詞の正確な理解も当然忘れてはいけません。ただ、語順ばかり原詞に忠実であっても意味がありません。Greg Irwin氏の諸々の訳のように、リズムには乗りやすいですが原詞の意味とかけ離れていても、いけないように思います。もちろん、作品としては素晴らしいと思いますが、山岸ゼミが目指していることは、そういうことではありません。原詞の意味と語順をできる限り崩さず、リズムに乗せ、時に音で“遊べる”ような訳が理想です。道は長く険しいですが、やりがいのある勉強であることは間違いありません。新年もしっかり勉強していきましょう。

 平成25[2013]年
       12月31日
          大塚 孝一